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2018 年度 実施状況報告書

エビデンスをめぐる教育学領域の境界画定に関する思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02282
研究機関愛媛大学

研究代表者

杉田 浩崇  愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10633935)

研究分担者 白石 崇人  広島文教女子大学, 人間科学部, 准教授 (00512568)
宮原 順寛  北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (10326481)
熊井 将太  山口大学, 教育学部, 講師 (30634381)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード科学社会学 / アクターネットワーク理論 / 境界画定過程 / エビデンスに基づく教育
研究実績の概要

本研究では、科学社会学やその背景にある認識論を方法論的視座として、エビデンスに向き合う中で教育学がどのようにして自己定義し、自身の学問領域や語り方を変容させてきたのか、その境界画定を歴史的に描き出すことを目的としている。
初年度は、9月に研究会を開き、科学社会学やアクターネットワーク理論で語られていることを整理し、研究者間で方法論的な視座を共有した。また、本研究が主な対象とする19世紀末~20世紀初頭における実験教育学・統計学の位置づけについても考察した。具体的には、あるシステムが外部を環境として境界づけるときにその境界線自体が見えにくくなること、統計を用いた因果推論がもたらす様々な帰結、実験教育学等に対峙しながら教育研究のあり方を提唱した大瀬甚太郎をはじめとする教育研究の思想史、実証科学の受容をめぐるドイツ教授学の歴史的変遷等が報告された。
また、OECD ITPのシンポジウムやイギリス・ロンドン大学のCharterd College及びケンブリッジ大学のSUPERプロジェクトを視察し、エビデンスに基づく教育をめぐる動向の情報収集を行った。前者は教員養成におけるエビデンス活用について、後者は研究者と教育実践者の橋渡しについて、情報を得ることができた。
成果として、日本教育学会のラウンドテーブル「新しいテクノロジーと教育―AI・ビッグデータは指導・評価・選抜をどう変えるか」の一部として報告した。また、研究分担者から発問論やタクト論等の教授学のテーマに関連づけて中国四国教育学会にて成果発表があった。さらに、本研究に携わる研究者を中心として『「エビデンスに基づく教育」の閾を探る』を仮題とする書籍を作成しており、2019年9月刊行予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、科学社会学やアクターネットワーク理論などの方法論的な視座を共有するとともに、19世紀~20世紀初頭の実験教育学や統計学の位置づけを探ることが主な目的であった。予定通り、研究会を開き情報共有をするとともに、統計学の位置づけについて日本教育学会のラウンドテーブルにて報告ができた。また、日本やドイツにおいて実証科学にどのように教師や教育学研究者が対峙してきたかについて、見取り図を描くこともできた。他方で、イギリスについては現状視察まではできたものの、歴史的な考察は途についたばかりである。
しかし、本課題の研究代表者と分担者が編者となって、本研究成果の一部を書籍にて公開することになり、その作業に着手できた点は予定よりも進んでいる。作業は順調に進んでおり、2019年9月の出版を見込んでいる。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、19世紀末から20世紀初頭における教育学の取り巻く状況を、実証科学の台頭の中で捉えたい。前年度に引き続き、実験教育学や統計学等がどのように展開されたかを明らかにするだけでなく、それらがどのように教育学にて論じられたのかを検討する。また、実証科学の台頭を受けて、新カント派や論理実証主義、現象学など様々な思想が展開され、国境を超えて相互に影響しあっていた。それらが、ディルタイの精神科学やナトルプの社会的教育学、フッサールやハイデガーの現象学、あるいはアメリカにおけるプラグマティズム等にどのように展開され、教育学に影響を与えたのか。日本、ドイツ、英米圏の教育思想や教授学の動向と重ね合わせながら考察する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 教育的タクトの技術論的考察2019

    • 著者名/発表者名
      宮原順寛
    • 雑誌名

      教育学研究紀要

      巻: 64 ページ: 108-113

  • [雑誌論文] PISA後ドイツの学力向上政策における学級指導・学級経営の位置づけ―各州の『参照枠組』『分析枠組』の検討から―2018

    • 著者名/発表者名
      熊井将太
    • 雑誌名

      山口大学教育学部 研究論叢

      巻: 67 ページ: 73-86

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 道徳教育における「媒介」の可能性―田辺元の数学論と論理学をめぐる洞察からの示唆2018

    • 著者名/発表者名
      杉田浩崇
    • 雑誌名

      近代教育フォーラム

      巻: 27 ページ: 17-23

    • 査読あり
  • [学会発表] 新しいテクノロジーと教育―AI・ビッグデータは指導・評価・選抜をどう変えるか2018

    • 著者名/発表者名
      広田照幸・杉田浩崇・木村拓也・仁平典宏・福島創太
    • 学会等名
      日本教育学会第77回大会(ラウンドテーブル)
  • [学会発表] Pedagogical Aspects of Two Uses of 'Analogy' in the Later Wittgenstein's Method of Philosophy2018

    • 著者名/発表者名
      Hirotaka Sugita
    • 学会等名
      PESA Conference 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] How Wittgenstein's philosophy has impact on educational research in Japan2018

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Maruyama, Yoshitsugu Hirata, Hirotaka Sugita
    • 学会等名
      British Wittgenstein Society Conference: Wittgenstein and Education
    • 国際学会
  • [学会発表] ネオ・プラグマティズムにおける「自然」と「規範」の編み直しの可能性(課題研究:科学技術の政治性とプラグマティズム)2018

    • 著者名/発表者名
      杉田浩崇
    • 学会等名
      日本デューイ学会第62回大会(課題研究)
    • 招待講演
  • [学会発表] 「発問と集団思考」の教育方法史―K.G.シャイベルトの発問論に焦点を当てて―2018

    • 著者名/発表者名
      熊井将太
    • 学会等名
      中国四国教育学会第70回大会
  • [学会発表] 教育的タクトの技術論的考察2018

    • 著者名/発表者名
      宮原順寛
    • 学会等名
      中国四国教育学会第70回大会

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公開日: 2019-12-27  

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