研究課題/領域番号 |
18K02283
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
平田 淳 佐賀大学, 学校教育学研究科, 教授 (90361005)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カナダの大学院 / 教育実践家向け学位プログラム / M.Ed. / Ed.D. / CPEDフレームワーク |
研究実績の概要 |
2020年度同様、2021年度もコロナ禍のためカナダ現地調査を実施することができず、インターネットや文献等により入手可能な情報を基に研究を実施した。特に昨年度研究対象としたオンタリオ州ウェスタン大学Ed.D.プログラムを継続調査し、論文「カナダ・ウェスタン大学Ed.D.プログラムにおける最終プロジェクト『組織改善計画(Organizational Improvement Plan: OIP)』の意義と内容」を執筆した。 拙稿においては、まず主に英語圏の大学におけるEd.D.プログラムの再構築を推進しているアメリカ・カーネギー財団の「教育博士号に関するカーネギー・プロジェクト(CPED)」における「CPEDフレームワーク」の内容を明らかにした。次いで、CPEDフレームワークで提唱されている6つのプログラムデザインと7つのコンセプトの観点からウェスタン大学Ed.D.プログラムの内容を分析し、特に同プログラム修了のための最終プロジェクトであるOIPの意義について検討した。その上で、そうしたEd.D.プログラムの構成要素の視点から日本の教職大学院におけるEd.D.プログラム設置の可能性について検討した。 例えば、受講学生の属性が学校教員に限定されておらず、広く「教育的」職業にある者に専門性向上の機会を提供していること、オンラインでの受講が基本であることから受講者の居住地がオンタリオ州に限定されておらず他州あるいは海外にまで及んでおり、そのため研究対象機関の所在地が多様であること、OIPの実施可能性を重視した評価システムが導入されていること、CPEDフレームワークの観点からは上述の7つのコンセプト・6つのプログラム・デザインをすべて満たす内容となっていること、等が明らかとなった。これら諸点は日本でEd.D.プログラムを構想する際に有益である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により現地調査に出向くことが不可能なため、当初計画よりやや遅れていることは否定できない。但しその分、これまでよりインターネットや文献等を通した調査を入念に行っており、遅れは最小限に留めている。
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今後の研究の推進方策 |
世界的に見て、主に西欧先進諸国を中心に海外からの渡航者受け入れ制限が緩和されてきている傾向にある。楽観はできないが、カナダ訪問が可能となった時に備えて、事前の調査準備に万全を期す計画である。可能であれば今年度中に複数回カナダを訪問し、複数州の複数の大学を調査したいと思う。また、今年度は最終年度であるため、本研究のまとめも行う。 これまで研究対象としたのはオンタリオ州のブロック大学M.Ed.プログラム、トロント大学オンタリオ教育研究所M.Ed.及びEd.D.プログラム、ウェスタン大学M.PEd.及びEd.D.プログラムであるが、今後は英語圏カナダでEd.D.プログラムを提供している残りの3大学、即ち、アルバータ大学、カルガリー大学、ブリティッシュ・コロンビア大学を対象としてまずはインターネットや文献を通した調査を実施し、状況が好転していればカナダ現地調査を実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により当初予算に計上していたカナダ現地調査を実施することができなかった。そのためその分の予算が執行できず、繰り越し額が生じた。状況が改善した場合、速やかにカナダ現地調査を実施し、予算執行することとする。 また、カナダ現地調査を実施する時期が限られているため、本研究を一年間延長することによって研究に必要な時間を捻出し、当初の研究計画を完遂することを計画している。
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