研究課題/領域番号 |
18K02283
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
平田 淳 佐賀大学, 学校教育学研究科, 教授 (90361005)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | カナダの大学院 / 教育実践家向け学位プログラム / M.Ed. / Ed.D. |
研究実績の概要 |
当該年度は、M.Ed.とEd.D.双方の学位プログラムを有する5つの英語圏大学院のうち、アルバータ州にあるアルバータ大学とカルガリー大学について検討した。成果として、次のような知見が得られた。 アルバータ大学教育系大学院でM.Ed.及びEd.D.の両プログラムを有するのは,教育政策学専攻ACHE領域とSEL領域,及び初等教育専攻である。本プロジェクトでこれまでに検討したプログラムと比較すると,M.Ed.はコースワークのみでも修了可能であるが学位論文を要件とする選択肢もあること,Ed.D.修了要件として博士論文を課していることやコーホート方式を導入していないこと,両プログラムにおいて対面式を原則としていることなどが類似点・相違点として指摘される。そこには,オンタリオ州のOISE/UTやウェスタン大学がCPEDフレームワークのメンバー校となっている一方で,アルバータ大学はなっていないことが影響している可能性がある。 また、カルガリー大学教育系大学院の修士課程は学位論文ベースとコースベースのプログラムがあり,併せて8つの専門領域によって構成されている。そのうちM.Ed.プログラムは3つであり,全てコースベースのプログラムである。博士課程はM.Ed.プログラムが1つ,Ph.D.プログラムが3つ,計4つのプログラムから成っており,全てにおいて学位論文の執筆が修了要件とされている。カルガリー大学も、CPEDフレームワークのメンバーではない。 両大学ともに、M.Ed.及びEd.D.双方において、カリキュラムを構成する各コースワーク(授業)が相互に関連するようにデザインされており、非常に体系的なものとなっている点が共通している。日本の教職大学院の観点からも、カリキュラム・デザイン上参考になる点が非常に多いことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究方法としては、まずはインターネットその他の方法で関連文献を収集・分析し、ケースの概要を明らかにしつつ、そうした情報からのみでは明らかにできないことを中心に質問項目リストを作成し、現地においてインタビュー調査を実施することによって得られたデータを分析し、その全体像を把握するという手法を採用している。但し、近年は新型コロナウィルス感染症のパンデミックのため、現地調査を実施することができていない。故に、各ケースの全容解明が十分にできていないという意味では、当初計画よりやや遅れていることは否定できない。但しその分、インターネットやその他の文献等を通した調査分析はこれまでより入念に行っており、遅れは最小限に留めている。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の状況も世界的には改善してきており、規制や制限も緩和されてきている。今後は現地調査のハードルも低くなることが期待されるため、これを実施することを今後の研究の推進方策としている。対象は、これまで文献調査の対象としてきたトロント大学・ウェスタン大学・アルバータ大学・カルガリー大学、また今後文献調査を行う予定であるブリティッシュ・コロンビア大学の5大学のうち数校について現地調査を行い、文献調査で得た知見をより深めるためのデータ収集及び分析を行うことを計画している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症パンデミックのため、当初予算に計上していたカナダ現地調査を実施することができなかった。そのため、主に旅費及びデータ処理に係る経費を執行することができず、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画としては、新型コロナウィルスの感染状況も世界的に改善してきており、規制や制約も緩和されてきているため、今年度は複数回現地調査を実施したいと考えている。 他方で、これまで上記パンデミックのため現地調査を実施することができなかった3年分の調査を1年で実施することは極めて困難であるため、研究期間を既に一年延長しているものの、可能であればもう一年延長し、これまで実施できなかった現地調査を実施したいと考えている。
|