2023年度は、高校再編計画により学校統廃合や学科再編を進める三重県のある地域を取り上げ検討した。その結果として、専門学科高校では、卒業後に地元を中心として社会で活躍する職業人の育成が目指されていた。同校では、7学科および学科内のコースに細分化された教育課程が設置されている。同校の特色は、入学後に学科およびコース選択が可能であること、1年前期には各学科の共通科目を受講し、自身の専門分野だけでなく他の専門分野を知ること、コースの専門科目、キャリア科目、多様な選択科目によって、「幅広い学習」と「専門性の深化」をめざし、「地域と企業との協働による新しい人材育成システム」を導入し、職業人として、社会で活躍できる人材を育て」るとされている。「学校設定科目」では、各専門領域の「研究」が設定され、長期休業中には実習が設定されるなど、職業の専門性を媒介とした社会での自立力の育成を目指していることがわかった。また、総合学科高校では4種類の系列の下に8種類の専攻を設置し、将来の専門性につなげる教育課程を設定している。そこでは「『自律』、『協調』、『創造』を体現できる力を身につけることを基本方針とし、『産業社会と人間』、『総合的な探究の時間』、『学習成果発表会』等の探究活動や表現・発表の機会を主軸に置いた学習活動を推進する」ことで、地域の人材育成を目指している。 これらの取組みは、県の高校再編整備と統廃合の計画を機会になされている。そこで、同地域の高校再編に際して、どのような高校が地域に求められているのか、という点で、県教育委員会によって地域に設置された高校再編整備の協議会での議事録を収集し確認した。その結果、これらの学校に対しては、地域社会も外部への人材流出を回避し、地元で自立的に活躍する人材の育成を期待していることがわかった。
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