研究課題/領域番号 |
18K02300
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
手打 明敏 東京福祉大学, 教育学部, 教授 (00137845)
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研究分担者 |
上田 孝典 筑波大学, 人間系, 准教授 (30453004)
池谷 美衣子 東海大学, 現代教養センター, 講師 (00610247)
生島 美和 帝京大学, 教育学部, 准教授 (80535196)
丹間 康仁 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10724007)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移住者 / 高齢化 / 産業の復興 / 学校の統廃合 / 防災学習 / 社会教育行政 |
研究実績の概要 |
2020年4月以降、新型コロナウィルス感染症の全国的拡大により、緊急事態宣言等の影響もあり、調査研究対象地域である宮城県亘理郡山元町において組織的な調査は実施することが出来なかった。コロナ禍のもとで、研究メンバーはインターネットや電話での聞き取りを行い、短期間ではあるが現地調査も実施した。9月からはリモートによる研究会を開催し研究の進捗状況の共有化を図ってきている。 第1回(2021年7月20日)は、研究の振り返りと研究のまとめ方について。第2回(2021年10月8日)は震災後10年の住田町―若者移住者の動向と教育行政の課題について。第3回(2021年12月10日)は山元町の農業コミュニティと農業生産法人について。第4回(2022年2月19日)は山元町のコンパクトシティ構想とまちづくりについて。 第2回の研究会では、本科研がフィールドとしている山元町の復興と社会教育の役割を相対化する観点から、東日本大震災による津波被災地域(大船渡市、陸前高田市)の後方の内陸部に位置する岩手県気仙郡住田町に在住する小宅優美氏(住田町教育委員会学校教育係)から震災後の住田町のまちづくりの現状と課題について報告していただいた。岩手県外からの若者が地元の若者とともに住田町と連携して「小さな拠点づくり」、町内の「高校魅力化推進事業」など町おこしに取り組んでいる。住田町が積極的に移住者を招き入れようとする施策がとられている。また、人口減少のなかで、小中学校の統廃合が課題となっているが、住民の合意形成を図る努力が続けられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
20年度に引き続き、21年度もコロナ禍のなかで、調査対象地域である宮城県亘理郡山元町における調査をほとんど実施することが出来なかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
21年度実施できなかった山元町の地域再生、活性化に取り組む諸活動について調査を実施する予定である。コロナ禍のもとで実地調査を実施することが予想されるので感染対策には万全を期して実施したい。以下の調査を予定している。 第1に、山元町の活性化に取り組む若者へのインタビューとそうした若者の活動を支援する町行政関連部局への聞き取り調査を実施する。第2に、山元町のいちご栽培に取り組む若い経営者に着目し、彼らの復興ビジョンについて聞き取りを行う。第3に震災後のコミュニティにおける社会教育体制と学校教育体制の変容について、山元町での小・中学校の再編整備の過程に注目し、教育機関の再編整備の方針や検討過程の分析を進める。震災後社会の教育条件整備のなかでの地域と学校の連携・協働に関する取り組みの状況、学校づくりとまちづくり施策の連動、震災遺構を核とした防災学習のネットワーク形成について、町行政担当部局への聞き取り調査等を継続して明らかにする。第4に、山元町の「民話の会」の語り部活動を通して震災伝承施設/震災遺構における「対話による学習空間」の意味を明らかにする。第5に山元町の社会教育行政に長く関わった元職員へのインタビューを実施し、住民による自主的な社会教育活動・地域活動について震災前後の連続性や変容を明らかにする。 こうした調査結果をふまえ、東日本大震災被災地のコミュニティ形成を支援する社会 教育の構造と論理を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」に記したように、2021年度はコロナ禍の影響により調査活動を十分に行うことができなかった。 2022年度はコロナ感染症対策をとり、現地調査を実施するとともに研究成果報告書を作成する予定である。
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