本研究では、新たな戦後教育史叙述に向けて、戦後日本の学校化社会の形成過程を支えた学校制度の周辺と周縁に注目して学校史を描いた。日本の学校化社会義務教育の対象をどう定めるか、日本の社会に暮らす国籍を異にする人びとの教育をどうするか、道徳教育は可能かなど、中核の学校が直面した難題に正面から対処したのは、学校制度の周辺や周縁に存在した学校や学校の諸領域であった。法定された学校制度の境界を広げて作り出された学校や領域が諸問題に対応することで中核の学校の日常とその正当性を支えたと捉え、戦後の制度的に中核にあった学校(「一条校」)を中心とした教育史で注目されてこなかった地点から戦後の学校史を描き出した。
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