研究課題/領域番号 |
18K02306
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
滝沢 潤 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20314718)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | バイリンガリズム / 言語マイノリティ / 効果のある学区 / 日本語指導が必要な児童生徒 / 平等な教育機会保障 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本におけるバイリンガリズムの理念に基づく教育機会の保障に関する総合的な研究の一部として、次の2点を目的に行うものである。(1)アメリカにおけるバイリンガリズムを理念とした言語マイノリティの教育機会の保障に関する理論モデルを構築する。(2)その理論モデルに基づいた日本の現状分析を通じて、日本におけるバイリンガリズムを理念とした教育機会の保障に関する課題とその解決策を明らかにすることである。 計画の2年目にあたる本年度は、上記目的の(1)に関して、英語および言語マイノリティの第一言語の習得と学力向上に関して「効果のある学区」と「効果のない学区」として抽出された学区のうち、(昨年度の訪問調査で十分な情報や資料の収集ができなかった)「言語マイノリティ児童生徒数が多く、第一言語に多様性がない学区」に加えて、今年度訪問調査を計画していた「言語マイノリティ児童生徒数が少なく、第一言語に多様性がある学区」への訪問調査を予定していた。しかし、2月下旬から3月に予定していた主な訪問調査地であるカリフォルニア州サンフランシスコ市が2月下旬に新型コロナ・ウイルス感染拡大に対する非常事態宣言を発出したため、訪問調査を中止せざるを得なかった。そのため、(1)の理論モデルの暫定的な検討と(2)に関して予定している質問紙調査の実施にむけて、文部科学省や各都道府県が公開している「日本語指導が必要な児童生徒」に関する各種統計データや関連情報の収集を先行して行った。その結果、予算、人事など広範な教育行政権限を持ち、就学前教育から高校、大学までのすべての教育段階の学校を設置管理する政令指定都市に注目して今後の調査を進めていくことが効果的であるとの結論を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」で述べたように、今年度予定していたカリフォルニア州への訪問調査が日米(全世界)における新型コロナ・ウイルスの感染拡大によって中止せざるを得なかったため、昨年度の調査で残された課題と合わせて、今年度予定していた調査、研究を実施することができなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
3年目以降は、今後の日米の新型コロナ・ウイルスの感染拡大の状況を考慮しながら研究を進める必要がある。そのため、再度、カリフォルニア州の州教育省や学区教育委員会が公開している関連情報を収集、分析することで、夏以降に効果的な訪問調査が実施できるようにする。また、同時並行的に日本での「日本語指導が必要な児童生徒」に関する各教育委員会の取り組みについて文部科学省や都道府県及び市町村教育委員会が公開している情報を積極的に収集、分析することで、バイリンガリズムの理念に基づく教育機会の保障に取り組んでいる教育委員会(自治体)を抽出し、その現状の整理分類を行い、予備調査的な訪問調査を実施したいと考える。また、「日本語指導が必要な児童生徒」に関する各教育委員会の取り組みに関する質問紙調査の抽出方法やWEBを活用した実施などについて検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度2月下旬から2週間程度を予定していたカリフォルニア州における訪問調査が、新型コロナ・ウイルスの感染拡大により中止せざるを得なくなったため。今後は、次年度以降、感染拡大状況を考慮しながら、訪問調査の日程を再検討し、夏以降の実施を目指すこととする。
|