本研究は,学習指導要領で必要とされる情報活用能力の指標を明らかにするとともに,公立小学校において広く活用できるプログラミング教育を含んだ情報教育コアカリキュラムを開発することを目的としたものである。 コアカリキュラムの原案を熊本市教育センター研究員及びモデル校によって検証しながら、以下の成果が得られた。 まず、小学生の情報活用能力の指標の具体化については、学習内容という観点から「基本的な操作等」「問題解決・探究における情報活用」「プログラミング」「情報モラル・情報セキュリティ」の4つの分類に整理して、カリキュラムに組み込むことができた。 次に、効果的なプログラミング教育がのカリキュラムについては、C分類(各教科等とは別にプログラミングに関する学習を行う)で年間1~2時間でプログラミングの技能の基礎を学び、その後、その技能を使って教科等の単元の中で1~2時間の学習ができるような基本的なカリキュラムを開発した。 さらに、系統的・組織的に配列した情報教育カリキュラムについては、国語科の教科書単元を柱としたカリキュラムを開発した。国語科は文字入力の基本的な技能や情報の収集・編集・発信までの一連の学習活動が単元の中に組み込まれているので、学年を貫いた系統的な指導が行いやすい。また、国語科において情報活用能力の基盤を育てながら、他の教科等に応用・発展させていくようにすれば、全体に活用が広がっていく。実際に熊本市のモデル校で実証しており、学年が上がるに従って技能の積み上げができるようになっている。 なお、本カリキュラムは、熊本市教育センターのWebサイト(http://www.kumamoto-kmm.ed.jp)に解説の動画付きで掲載されている。今後の課題としては、各学校が本カリキュラムを校内研修に位置づけ、カリキュラム・マネジメントを効果的に行うことが求められることである。
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