本研究では、旧制の私立学校の寄宿舎生活の検証、学徒動員の勤労先の寮生活の検証、宮崎県椎葉村立椎葉中学校の寄宿舎の実態調査を行った。戦後日本の中等教育機関は長く親元から通学するのが一般的であったが、今後は学校統廃合により通学区域の広域化が進む。戦前の旧制時代の寄宿舎や寮の検証から、集団生活でのリスクを明らかにした。とりわけ戦災などの非常事態における安全確保の問題である。 また椎葉中学校寄宿舎調査では、河川行政上、寄宿舎が必然であることと、自宅生との公平性の観点から、寄宿舎での学力保障に制限がかかっていることを指摘した。これについては、学社融合による弾力的な対応が必要であることを明らかにした。
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