研究実績の概要 |
日本とドイツとの比較研究を志向し、ドイツにおいては生産学校のキャリア指導を取り上げた。日本においては佐賀県のNPOスチューデント・サポート・フェイスを取り上げた。 ドイツ生産学校については、以下の論文で取り上げてきた。ドイツ、デンマーク生産学校のデッサンー学校中退者・失業青年に職業訓練を」『人文学報』東京都立大学人文学部、2007。これらで生産学校の特質とキャリア教育との関連も考察した。その後何回かドイツ・カッセル市の生産学校の調査を行った。 日本では、佐賀県武雄市にあるNPO法人スチューデント・サポート・フェイスの引きこもり青年の社会復帰のための援助活動を調査した。このNPOは 2003年7月5日設立し、10月23日NPO法人となり、支援・相談事業の提案、指針を作成し、実践してきた。面談人数、派遣件数とも増加していき、平成28年度(2016年度)は相談件数13,913件、面談人数9,590人、派遣件数4,257件でいずれも最高になる。この数字は、佐賀県において、若者が、家庭、学校(中等・高等教育)とは別の第3の領域を必要としていることを示した。これに加え、生活困窮者自立支援事業も行っている。引きこもり・不登校などの若者家庭で生活が苦しい家庭が目立つことに気が付いたからだという。さらに、対人不信にあることにより、相談事業への訪問参加は望めない。その訪問支援は「アウトリーチ(訪問支援)の実施による支援への誘導」を意味する職親制度をとりいれた。これは、日本財団の「職親プロジェクト」を参考に、若者を支援する者を職親と呼ぶようになっている。この点で、ドイツの生活学校と同じ課題を持っている。そして、就労支援が人格支援―人間形成の支援となっていることもドイツ生産学校と共通している。
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