研究課題/領域番号 |
18K02320
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
久保 富三夫 立命館大学, 教職研究科, 教授 (00388084)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子どもが育つ / 地域が育つ / 学校支援 / 学校運営 / 小規模特認校 / 学校運営協議会 |
研究実績の概要 |
2018年度は、主に次の5つの活動をおこなった。 (1)2013~2014年度科研費・挑戦的萌芽研究「小規模特認校制度の教育的意義とその実現のための要件に関する研究」(最もまとまった研究成果は『人間科学部研究年報』第17号、帝塚山学院大学、2015年、32~46頁に掲載の同名論文)で訪問調査を行った小規模特認校のうち主要な学校を再訪問して、新しい校長との交流、信頼関係の構築と、4年間の変化・発展についての把握を行った。近畿地方を中心に全国15校の訪問調査を行った(5校については複数回以上の訪問調査実施)。 (2)前記15校の中には学校運営協議会を設置している学校が5校存在しており、そこではいずれも学校運営協議会設置の有効性を聞き取ることができたが、多くは学校支援の段階にとどまっており、他の小規模特認校における学校支援組織との顕著な違いは見出しにくかった。しかし、4小・1中を統合して誕生した小規模特認校における学校運営協議会は、多くの地区から構成される校区住民の交流促進(地域づくり)と学校づくりの役割を担う公的組織として、企画力あるコーディネーターの存在とも相まって、確かに「学校運営」の機能を果たしつつあると感じられた。 (3)小規模特認校制度を導入した近畿地方の2校、沖縄県の1校を訪問調査し、新たな取り組みを把握することにより特認校認識の幅を広げた。 (4)2013年度から作成を続けている「全国小規模特認校一覧(暫定版)」(2018年度)を3月12日付で作成し、調査訪問の際に、校長・教頭、住民や保護者に配布して、小規模特認校間の自主的主体的ネットワーク形成の手がかりになる資料提供を行ってきた。(5)小規模特認校における地域住民、保護者の自主的主体的取り組みを把握することと、小規模特認校の教育的意義を在校生、卒業生、保護者、地域住民の「生の声」を収録する活動を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度には、学校運営協議会を設置している学校は5校しか訪問調査ができていないが、その反面、小規模特認校における地域住民の学校支援活動については、従来の研究にはなかった成果を得ることができた。したがって、今後、学校運営協議会の有効性を検討していくうえでの基礎はある程度築けたと考えている。研究の初年度であるので、概ね順調であると判断してよいと思う。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、次の3つの事を重点的に進める。 (1)文部科学省による学校運営協議会設置校の公表は、2016年4月1日が最後であり、今後も公表予定はないという回答であった。したがって、設置校の実態調査を、緊急に行う必要性がある。今のところ、都道府県・政令市教育委員会対象の調査を行うことを考えている。 (2)前記(1)の調査に基づき、小規模特認校における学校運営協議会設置状況を把握して、その中で、小規模特認校としても「成果」を挙げている学校を選んで、できるだけ数多く訪問調査を行う。 (3)学会、研究会における研究成果の途中段階での発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年2月26日~27日に、沖縄県名護市に調査のために出張したが、その時点で、2018年度交付額では所定の金額を支出できないので、2019年度回しとなったため。 2019年度も、小規模特認校で学校運営協議会を設置している全国の学校を多数訪問調査する。
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