(1)最終年度である2022年度においてもコロナ禍が収束せず、主たる研究対象である名護市立緑風学園学校運営協議会への直接参観は、2023年2月9日開催の2023年度第5回会議のみにとどまった。しかし、2022年9月15日開催の第3回会議および11月4日開催の第4回会議にはオンライン参観することができた。同校協議会では、PTA組織にCSを加えたPTCSAづくりを進めている。第5回会議ではPTCSAづくりの具体化と特認利用保護者の活動参加活性化が課題として議論された。2月10日には副会長からの聞き取りを行った。 (2)過去に訪問実績がある関西の小規模特認校を5校訪問し(2校は学校運営協議会あり)、現況把握を行った。 (3)2023年度からの小規模特認校制度導入に向けて準備を進めていた姫路市立莇野小学校と地域住民の準備過程において、2013年度以来の小規模特認校制度研究をもとに活動支援を行った。 (4)学校運営協議会が存在し、かつ自律的運営が行われている場合には、教職員・保護者・地域住民が一体となった学校づくりが行われる可能性を確認できた。自律的運営の要は二つあると思われる。一つは、会長・副会長はじめ委員と共に、とりわけ企画立案の中核となる地域コーディネーターに見識と活動力を有する人材を得ることである。もう一つは、学校運営協議会に先立つ企画推進委員会の存在である。緑風学園において学校運営協議会が大きな役割を果たしている要因は、前記二つの条件を満たしていることに加えて、同校が4小1中統合により発足した背景があると思われる。すなわち、歴史・文化が異なる10区にまたがる広大な地域づくりの課題と小規模特認校としての学校づくりの課題とが通底していることである。そのためには、法的根拠に基づいた学校運営協議会の存在が、地域住民の代表性と教育行政・学校からの自律性を確保するうえで有効であったといえる。
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