研究課題/領域番号 |
18K02321
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
山ノ内 裕子 関西大学, 文学部, 教授 (00388414)
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研究分担者 |
四方 利明 立命館大学, 経済学部, 教授 (90340489)
日下部 達哉 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 准教授 (70534072)
針塚 瑞樹 別府大学, 文学部, 講師 (70628271)
浅田 憲彦 別府大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90331628)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学校給食 / 食マイノリティ / ハラール / 食物アレルギー / 学校文化 / 多様性 |
研究実績の概要 |
本研究は、食物アレルギーおよび宗教上の理由から特定の食物を摂取できず、食生活上の制約から、学校給食の場において排除されがちである子どもたちを「食マイノリティ」と包括的に定義し、「食マイノリティ」の観点から学校給食のありようを調査することによって、多様性を承認し、公平性を保障するような学校給食や学校そのもののあり方を学際的に究明しようと試みるものである。 2018年度は、次年度以降調査を本格化させるための予備的調査に着手した。(1)文献調査:学校給食や食育の歴史と現状、学校給食におけるアレルギー対応、学校における宗教的マイノリティへの対応等にかかわる文献資料の収集および分析を進めた。加えて、全国を10地域に分割し、各地域から複数の都道府県・市町村を抽出し、インターネットに公開されている行政文書をもとに、学校給食の実施状況ならびに学校給食における「食マイノリティ」対応の概要を把握した。(2)アンケート調査:学校給食との比較を行うために、大分県を事例として、県内における108の病院を対象に、宗教上の食事対応にかかわるアンケート調査を実施した(回収率55.6%)。(3)訪問調査:学校給食における特徴的な取り組みや、学校給食における「食マイノリティ」対応にかかわるインタビュー調査を中心とする訪問調査を、山崎学校給食センター(兵庫県宍粟市)、鶴岡市学校給食センター(山形県)、東広島市教育委員会(広島県)、学校給食歴史館(埼玉県)において実施した。(4)参与観察:「食マイノリティ」当事者団体である食物アレルギー家族会において、継続的に参与観察を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は2019年度以降の本格的なフィールド調査実施に向けて、訪問調査やアンケート調査と並行して、文献調査やフィールド調査先とのラポールの形成を含む予備的調査に注力した。具体的には、学校給食における「食マイノリティ」対応にかかわる文献資料の収集、分析を進めるとともに、インターネットに公開されている行政文書をもとに、学校給食における「食マイノリティ」対応の全国的な概要を把握した。 また、学校給食センターや教育委員会等における訪問調査や、アレルギー患者当事者団体、ムスリムコミュニティとのラポール形成も行った。そのため、本格的にフィールド調査を展開するには至っていないが、2019年度以降は、実施可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、行政、教員および栄養関係者へ のインタビュー調査と当事者団体・宗教的コミュニティへの参与観察に本格的に開始する。収集したデータはメンバー間で共有し、検討を加える。2020年度は、若干の補足調査を行いつつ、これまでに蒐集したデータを用いて、日本の学校給食の特徴について分析を進める。これにより、多様性を承認する学校給食のあり方や、それらを可能にする開かれた学校のあり方について考究する。最終年度につき、学会での学会誌等への論文投稿に加え、最終報告書および概要版リーフレットの作成・配布を通して、研究で得られた知見を広く発信する予定である。 具体的な役割分担は、研究全体の統括を研究代表者の山ノ内が行うが、学校給食提供サイド、すなわち教育委員会や教員、保育士、栄養教諭、栄養士などへのアンケート調査とインタビュー調査を四方と浅田が主に担当する。また、食マイノリティサイドについては食物アレルギー家族会についてのフィールド調査を山ノ内が、そしてムスリムコミュニティのフィールド調査は日下部と山ノ内が、ヒンドゥー教徒コミュニティのフィールド調査については針塚が主に担当する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は2018年度は予備的調査として行ったアンケート調査と文献調査、そして旅費が生じない勤務地周辺でのフィールド調査がメインであり、本格的なフィールド調査は2019年度に重点的に行うことにしたため、次年度使用額が発生した。これらは2019年度に旅費とテープ起こしの謝金に充てる予定である。
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