研究課題/領域番号 |
18K02322
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
長谷川 精一 相愛大学, 共通教育センター, 教授 (40269824)
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研究分担者 |
越水 雄二 同志社大学, 社会学部, 准教授 (40293849)
北澤 義之 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (90257767)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 単一言語主義 / 複言語主義 / コードスイッチ / アラビア語 / ダイバーシティ |
研究実績の概要 |
本年度には、日本に関しては、ブラジル人をはじめ、南米、アジア各国から多くの外国人労働者が流入した都市の事例として、磐田市多文化交流センターでの聴き取り調査を行った。同センターではスタッフ、外国人及び日本人の児童・生徒、住民によって複数の言語が併用されている。今後、他の事例についても調査することによって、今後の日本社会のダイバーシティについて考察していきたい。 アラブ地域に関しては、アラビア語とアラブアイデンティティの関係に関する資料収集を行った。言語をめぐる社会統合に関しては、公用語としてのアラビア語と方言としてのアラビア語の二重構造が特徴になる。その一方で、実際にアラビア語話者によるコードスイッチがあることに注目した研究があり、コードスイッチを複数言語主義の前段階とみなすならば、複数言語主義の研究を発展させるうえで重要性を持つ。さらにコードスイッチは同一言語(文語と口語)だけでなく、異言語間の転換(英語、アラビア語、フランス語、ヘブライ語等)についても検討する必要がある。なお、アラブ諸国においては、アラビア語は同一言語を共有するという一般的認識が強く影響力を持ってきた。また、脱植民地化のプロセスの中で脱外国語と、アラビア語使用の推進が重視されてきた。しかし時間の経過とともに、旧来の脱植民地の主張や言説は、徐々に影響力を失いつつある。他方、たとえばアラビア語話者の会話において、同一個人が場面に合わせてアラビア語を使い分ける、あるいは英語に転換するという場面がみられるようになってきた。また、グローバル化に伴って、場所によっては現実に英語の浸透をめぐる変化が起きている。このような新たな局面は本来のアラビア語の二重構造に加えて、多層的な言語使用状況をもたらすことになる可能性がある。他地域の言語使用状況との比較により、この問題の考察を深める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度にあたる2018年度においては、まず研究代表者、研究分担者が、これまで3回の共同研究の成果をさらに発展させて、日本、フランス、アラブの各地域において、単一言語主義から複言語主義への変容について調査・研究を進める予定であったが、これは概ね進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目である2019年度においては、日本、西洋、第三世界を《三角測量》という方法により相対化するという本研究の手法を考慮しつつ、各地域での調査・研究を相互に紹介・検討する作業を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
史料収集を目的とする出張を、当初予定していた回数、実施し得なかったため、旅費に関して、残額が発生した。当初、2018年度に旅費として使用を予定していた金額からの残額は、2019年度に旅費として使用する。
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