研究課題/領域番号 |
18K02322
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
長谷川 精一 相愛大学, 人文学部, 教授 (40269824)
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研究分担者 |
越水 雄二 同志社大学, 社会学部, 准教授 (40293849)
北澤 義之 京都産業大学, 国際関係学部, 教授 (90257767)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 言語教育 / 単一言語主義 / 複言語主義 |
研究実績の概要 |
日本に関しては、世界的な複言語主義の動向とは裏腹に、日本では外国語教育即ち英語教育という理解が今なお一般的であり、欧州評議会によるCEFRが示すように、ネイティブスピーカーが持つような言語運用能力を目指すのではなく、断片的・部分的な外国語知識でも、それを有機的に結びつけ、コミュニケーションを行おうとする姿勢に価値を置くこと、国際共通語、媒介語としての英語の優位性の相対化、文化や使用言語に依存したアイデンティティと脱言語的・脱文化的アイデンティティとの差異への着目、メタ言語意識に基づいた言語力といった観点を踏まえて、考察を進めて行きたい。 フランスに関しては、フランスの小学校では、2008年からフランス語に加えて〈現代語〉langues vivantesとして英語・スペイン語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語・ロシア語・アラビア語・中国語の中から1言語を選択して教えるようになり、この結果90%を超える小学校で英語が学ばれている状況である。〈現代語〉教育の成果は十分に検証されうる段階にまだないが、現状では何が期待され、懸念されているかを、19世紀以降に公教育が制度化された過程で言語教育が果たしてきた役割の変化と照らし合わせながら考察していきたい。 アラブ地域に関しては、中東アラブ諸国における複言語主義の研究のため、2019年度はヨルダンのショーマン基金(ヨルダン)での文献調査とアラブの言語学者との意見交換を行った。文献調査によって(1)アラビア語をめぐる特殊状況の理解、(2)外国語(主に英語教育)の受容をめぐる問題、さらに(3)アラブ諸国におけるローカルなマイノリティ言語話者(チェルケス、コプト、アルメニア、クルド等)とアラビア語の関係性が重要であることを認識した。以上の3局面に注目して、アラブ社会の複言語主義の可能性について考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大による資料収集の困難性
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染の収束状状況を見ながら、資料収集の再開を考えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大により資料収集を控えたため。感染の状況を見つつ、資料収集を再開する。
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