研究課題/領域番号 |
18K02328
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
片岡 洋子 千葉大学, 教育学部, 教授 (80226018)
|
研究分担者 |
瓦林 亜希子 都留文科大学, 教養学部, 准教授 (10780249)
山田 綾 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (50174701)
佐藤 隆 都留文科大学, 教養学部, 教授 (70225960)
LEROUX Brendan 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (80610203)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | フレネ教育 / 中等教育 / 新教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中等教育を教授中心から生徒主体の協同的な学習へと転換するために、フレネ教育の思想と方法が、現代において実践的にどのように展開可能かを明らかにすることである。そのため、フランスのラ・シオタのジャン・ジョレス中学(コレージュ)とマルセイユのロンシャン中学で行われているフレネ教育の授業や教育課程について実地視察し、中等教育の在り方を検討してきた。同時に上記と埼玉県の自由の森学園中学高校との比較考察を通じて、日本の中学・高校で、生徒が主体的、協同的に学習するための教育を展開していくための課題を明らかにしようとしてきた。 ジャン・ジョレス中学については、授業参観や10周年行事への参加等において、フレネクラスの現教員と在校生のほか、元教員、研究協力者、卒業生、保護者からの聞き取りデータを集積することができた。マルセイユのロンシャン中学においても、教員、生徒、保護者からの聞き取り、授業参観によるデータ等、実際の授業の進め方や教育課程についての資料を収集することができた。2020年度はそれらの分析検討をとおして論文を執筆し、研究のまとめを行う予定であった。しかし、新型コロナ感染症の拡大により、フランスでの追加調査や国内研究会の開催が困難となり、研究計画を変更した。 2020年10月に中教審から中間まとめが発表され、2021年1月26日に答申「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」が発表された。本研究と大いに関係する中教審答申の検討をおこなった。フレネ教育では個別化学習と協同的学習が同時に追求されているが、中教審答申で述べられている「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体化とどのような共通性と異質性があるかを明らかにし、発信していく必要が生じてきている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナの感染拡大により2020年3月以降の研究会や学校訪問などの研究計画を実施することができず、研究計画を大幅に変更せざるを得なかった。また研究代表者、研究分担者の本務である大学で急遽オンライン授業への切り替えによる業務等、本研究よりも優先させなければならないことが予想以上に増えた。各自が本研究のまとめに向けて原稿執筆をおこなっていたが、パンデミックによって加速化した日本とフランスの中等教育におけるオンライン授業の可能性と課題、中教審答申の内容を踏まえた論述の必要等、あらたに検討しなければならない研究課題も浮かび上がってきた。そのため、研究期間を延長して研究のまとめの内容について再検討していくことになった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長したため、今年度が最終年度となる。公立のコレージュ(中学)でのフレネ教育では、生徒が生活で得た興味・関心から出発した地歴など教科の授業が展開されている。その実験的教育の成果を、日本の中等教育に取り入れていくことはできるか。上級学校への進学など中等教育の独自の問題にフレネ教育はどのように取り組んでいるか。フレネ教育の思想と方法が中等教育において展開されるための理論問題とは何か等について、またパンデミックによって加速化したオンラインによるリモート授業の現状と課題についても明らかにすることを目標に研究成果をまとめていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大により、追加訪問調査が不可能となったことで旅費の支出ができなかった。また予定されていた対面での研究会の実施も困難となり、国内出張旅費の支出もなかった。
|