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2018 年度 実施状況報告書

シカゴ派プラグマティズムの実演の思想と想像力概念の機能に関する教育哲学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 18K02329
研究機関東京学芸大学

研究代表者

古屋 恵太  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50361738)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード劇化 / プラグマティズム / デューイ / アダムズ / ミード / ボイド / 遊び / 誠実
研究実績の概要

2018年度(平成30年度)の研究実績は次の二点にまとめることができる。
第一は、シカゴ派プラグマティズムの思想家のうち、ジョン・デューイとジェーン・アダムズの教育思想を「劇化」(dramatization)の観点から考察したことである。その研究成果を、日本学校教育学会第33回大会ラウンドテーブルにおいて「J. デューイとJ. アダムズにおける『劇化』の教育思想」という題目で発表した。これによって、1.「劇化」が、デューイの教育思想において、ある特定の年齢の子供の教育方法として捉えられているだけでなく、教育そのものをとらえる概念としても用いられていること、2.デューイの実験室学校とアダムズの労働博物館の教育実践はこの点で重なり合っていること、3.両者の思想的共通性が、後期デューイの芸術論を、美的探求のみならず、科学的探求にも共通した教育思想として読み直すことを可能とすること、4.その読み直しの概念的柱が、探求における主題への「誠実」(sincerity)さであること、以上四点が明らかとなった。
第二に、シカゴ派プラグマティズムの思想家であるジョージ・ハーバート・ミードとともに、彼の同僚であったネヴァ・レオナ・ボイドに対するミードの影響を研究範囲に新たに加えて、資料収集と分析を行ったことである。即興演劇で知られ、アダムズのハルハウスで学んだ経験のあるヴァイオラ・スポーリンの師にあたるのがボイドである。このため、ボイドとミードの思想的関係を問うことで、シカゴ派プラグマティズムを出発点とする演劇思想の系譜を全く新たに描き出すことが可能となることが期待できる。それはまた、シカゴ派プラグマティズムにおける「遊び・演劇」(play)概念を再構成し、学習理論に組み込むことにつながるとも考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

学会発表を行い、シカゴ派プラグマティズムの思想家のうち、デューイとアダムズの検討ができたことは成果である。しかし、出版社の事情で、この論考を含む著書の出版が遅れている。また、ミードとボイドの思想的関係については検討中であり、論文を執筆する段階にはいたっていない。さらに、入手を目指した進歩主義教育関係図書のうち、その稀少性もあって入手できていないものがあったり、出版社の事情で2018年度内に入手できなかった洋雑誌もあったりしたため、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

まずは、2018年度に執筆にはいたらなかった、ミードとボイドの思想的関係を扱った論考を執筆することを一年を通して目指す。次に、「劇化」としてのデューイの科学的・美的探求を、現代の教育理論との関わりで考察する応用的研究を行い、2019年5月に学会誌に投稿する予定である。
なお、後者の学習理論との関わりについて言えば、2018年度の研究過程で、現代の学習理論の基礎とされているデューイとレフ・セミョーノヴィチ・ヴィゴツキーという二人の思想を再解釈する試みを、複数の研究者と研究会を組織して行う予定である。これは当初予定しなかった研究の拡張となるが、この研究会の活動枠内で、もともとの研究課題をさらに深めることが可能だと考えている。

次年度使用額が生じた理由

1.海外旅費(飛行機代)を大変安く抑えることができたこと、2.入手予定の研究書が稀少性が高く、2018年度は入手できなかったこと、3.入手予定の海外雑誌が海外の出版社の事情で、2018年度内に半分ほどしか購入できなかったこと、以上三点が次年度使用額が生じた理由である。
次年度使用額については、2、3の研究書、雑誌を入手、購入することで2019年度に使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] J. デューイとJ. アダムズにおける「劇化」の教育思想2018

    • 著者名/発表者名
      古屋 恵太
    • 学会等名
      日本学校教育学会第33回大会

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公開日: 2019-12-27  

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