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2020 年度 実施状況報告書

シカゴ派プラグマティズムの実演の思想と想像力概念の機能に関する教育哲学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 18K02329
研究機関東京学芸大学

研究代表者

古屋 恵太  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50361738)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード劇化 / 遊び / プラグマティズム / デューイ / アダムズ / ミード / ボイド / 仕事
研究実績の概要

2020年度(令和2年度)の研究実績は次の二点にまとめることができる。
第一は、本研究課題全体の見通しをもつにいたるような総合的な研究を行うことができた点である。教育思想史学会第30回記念大会のシンポジストとして招待を受け、発表を行った(事前録画、オンデマンド型で、9月12日から18日まで配信)。この発表では、本研究課題全体の構想を説明することに努めた。このため、1.ジェーン・アダムズのハルハウスを中心点としてシカゴ・プラグマティズムの思想的系譜を描くという研究目的、その理由・背景と意義、2.アダムズのハルハウスとジョン・デューイ、ジョージ・ハーバート・ミードとの関係、3.ミードにおける遊びの思想、4.ハルハウスで遊びとレクリエーション活動の指導を行ったネヴァ・レオナ・ボイドにおける遊びの思想、以上四点に関する研究を総括的に行った。
第二は、上記四点のうち、ミードに特化して集中的に研究した論考を同学会の機関誌に投稿したことである(2021年9月掲載予定)。論題は、「G・H・ミードの思想における遊び論の再検討―シカゴ・プラグマティズムの思想的系譜の見直し―」である。この論考では、初期ミードにおける遊び、仕事、芸術の関係、後期ミードにおける遊びとゲームの関係を論じ、最後に、教育人間学領域の仕事論、他者論、模倣論との対話を求める論点を提示した。後期ばかりが注目されがちなミードの思想を初期から後期にいたるまで全体的にとらえ、遊びと仕事の連続性を主張する議論として後期の思想を解釈できることを示すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題全体を総括的に研究し、今後必要とされる作業が明確化されたことは収穫であった。また、2019年度の時点の予定とは異なり、ミードとボイドの両者を取り上げた論考ではなく、ミードだけに限定されたものの、論文を完成し、投稿できたことも成果である。しかし、コロナ禍のために海外出張ができず、ハルハウスやボイドに関する資料収集は不十分なままであったため、それらを対象とした論文を完成するにはいたらなかった。すでに2019年度に論文を発表したデューイについても、「劇化」概念ではなく、「遊び」概念を対象として再度研究する予定であったが、それもコロナ禍で達成できなかった。このため、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

コロナ禍はいまだ改善のきざしが見えず、2021年度も海外での資料収集は難しい状態にあると言える。そうだとすれば、まずは、多くの著作が全集化されており、研究が比較的しやすいデューイの「遊び」概念の研究を進めたい。また、ボイドの思想と実践についても、2020年度の学会発表で一定程度まとめてあるため、これについても、インターネット上で入手可能な資料を探すことも試みながら、一本の論考として完成させることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

すでに2019年度に、研究代表者が育児の必要により国内・海外出張を行えず、2020年度時点で次年度使用額が発生していた。それに加えて、2020年度はコロナ禍により、国内・海外出張を行えない状態となったため、さらに累積的に次年度使用額が生じたことが理由である。研究期間の延長申請が認められたものの、2021年度も、出張による資料収集は困難であると想定される。研究課題の全範囲に関する図書購入や複写依頼を行うことで研究を成立させることを目指すとともに、これまでの資料の整理を行うための備品の購入と、それを用いた作業のための人件費を使用することとしたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 「遊び」(play)と「劇化」(dramatization)から見たシカゴ・プラグマティズムの思想史―G・H・ミードとN・L・ボイドを中心に―2020

    • 著者名/発表者名
      古屋恵太
    • 学会等名
      教育思想史学会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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