令和4年度は,前年度から引き続き富山県内の小中学校の校内研修会や行政主催の校内研修活性化研修会に参加することを通して,校内研修会で同僚教師と共有されるヴィジョンが個々の教師の授業実践やその授業における判断にどのように影響を及ぼしているかについて実態調査を行った。 調査の分析の結果,明らかとなったのは以下の点である。第一に,平成29年告示の学習指導要領において「主体的・対話的で深い学び」のビジョンが示されて以降,各学校の授業研究会で少しずつ,参観する教師たちの視点が「いかに教師が教えているか」ではなく「いかに子どもたちが学んでいるか」という視点にシフトしてきていること,第二に,教師たちのその視点のシフトと連動するように,子どもたちの探究的な学びを保障する授業改善への挑戦が各校で取り組まれていること,第三に,各校の授業研究会における探究的な授業に向けた同僚教師の学び合いによって,授業中の子どもの探究的な学びを支える教師の自律的な判断が促されていたことである。 この研究の成果は,富山大学-JICAエチオピア国別研修「カリキュラム開発、実施、評価を通じた理科教育における持続的な学びの改善」における「学習指導要領の実践に向けた学校現場の取り組み-校内研修を通した教育実践の改善」(増田,2022.8)において報告した。
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