研究課題
基盤研究(C)
本研究の成果は,第一に,協働的で探究的な授業における教師の道徳的判断の特徴を明らかにするための理論枠組みを提出したことである。授業における教師の価値判断に内包される,教室外からの影響を解釈する際の視点を新たに見出した。第二に,各学校での探究的な授業に向けた同僚教師たちとの学び合いによって,授業中の子どもの探究を支える教師の自律的な判断が促されていたことを実態調査によって示したことである。
教育学
教科内容の知識や指導技術等と異なり,授業における教師の判断は,具体的な内容が捉えにくい傾向にある。そのため,授業中の教師の判断をいかに成熟させていくかということについても,教師たちによって経験的に把握され,同僚の先輩教師から徒弟的に学ばれてきた。本研究では,授業中の教師の判断を価値に関わる道徳的判断と捉えて実証的に特徴を明らかにするための理論枠組みを提示したことにより,教師の専門性とその育成を巡る議論に新たな視点を提供することができた。