研究課題/領域番号 |
18K02337
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
苫野 一徳 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (70507962)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育学のメタ理論体系 / 学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、報告者がこれまでに研究してきた「教育学のメタ理論体系」を精緻化すると共に、これに基づいた実践理論群を構築・例示・展開することにある。この目的達成のために、以下2つの方法を通して研究を進めている。 (1)公教育の「構想指針原理」として解明された〈自由〉〈自由の相互承認〉〈一般福祉〉の各原理が、何をもって実質化されたといいうるか、その指標を解明・提示する。 (2)上記指標に基づき、「構想指針原理」実質化のための実践理論を、特に「学びのあり方」に焦点化して構築・例示し、メタ理論体系に基づく実践理論群を展開するための理路を明らかにする。 令和元年度は、特に(2)について大きな進展があり、その成果は『「学校」をつくり直す』(河出書房新社、2019年)において発表した。本書においては、「学びのあり方」に関してはこれまでに理論化してきた「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」をさらに深化させるだけでなく、今日の学校教育の根本問題を「みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で、同質性の高い学級の中で、出来合いの問いと答えを勉強する」という慣習的システムに見、この問題を根本的に克服するための理論としても再構築した。 以上に加えて、研究の進展とともに「教育学のメタ理論体系」それ自体の深化の必要にも行き当たったため、現在、その精緻化のための研究を進めている。ほぼ原稿は仕上がったため、令和2年度には書籍として出版できるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画書の時点では2年ほどかけて行う予定だった実践理論の体系化が、この1年で大幅に進展したため。
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今後の研究の推進方策 |
教育学のメタ理論体系の精緻化の必要に行き当たったため、今年度は、実践理論の体系化に加えてメタ理論体系の深化研究により力を入れたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスのために、年度末の研究会・学会等の出張が全てキャンセルになったことが主な理由で、翌年度に繰り越すこととなった。繰越分は、キャンセルになった学会・研究会出張等にあてる予定。
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