研究課題/領域番号 |
18K02354
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
鎌田 浩子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60301959)
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研究分担者 |
藤本 将人 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (10404229)
川邊 淳子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50301958)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 消費者教育 / 家庭科教育 / 社会科教育 / SDGs / 消費者市民 / 教員養成 / 金融教育 / 教科横断 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】本研究では,教員養成系大学おける「消費者市民」育成を可能とする教科等横断カリキュラムを開発,実践し,そのカリキュラムにより育成された能力を見取るための評価技法を提案することにある。【研究実施計画】本年度は,教員養成系大学生ならびに教員に求められる「消費者力」の確定に関する社会学的調査及び国内・国外の大学における消費者市民社会構築を目指した「消費者教育」に関する先行事例の収集・分析を実施する予定であった。【研究概要】次期学習指導要領が告示され,高等学校では,「公共」が新設され,2単位必修となるなど消費者教育の内容が充実している。しかし,これまで以上に各教科や領域で消費者教育として取り扱われているものの,教科横断的かつ体系的なカリキュラム構成とはなっていない。そこで,独自のカリキュラムを開発し実証する重要性は高くなったといえる。また,国連による持続開発可能な開発目標であるSDGsの第4の目標「質の高い教育をみんなに」はもちろんのこと,特に消費者市民教育では第12の「つくる責任使う責任」とのかかわりが大きく,国際内外との関連についても考慮すべき側面が大きく研究の方向を見直すこととなった。これは,これまでの国外における消費者市民社会構築を目指した「消費者教育」の授業を行うとともに先行事例の収集・分析もさらに重要となっている。そこでこれらの視点を加味した学生対象調査や資料分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,教員養成系大学おける「消費者市民」育成を可能とする教科等横断カリキュラムを開発,実践し,そのカリキュラムにより育成された能力を見取るための評価技法を提案することにある。加えて,大学における消費者市民教育カリキュラムにおける指導と評価の一体化を促進するためのモデルを示すことである。しかしながら,平成24年消費者教育推進法が施行されて以降,2022年4月より成人年齢が引き下げられることが決定し,わが国における消費者市民教育の根底が大きく覆される。例えば,次期学習では高等学校「地理歴史」の地理は「地理総合」が必修科目となり,さらに「地理探求」が選択科目に,歴史は「歴史総合」が必修科目となり,「日本史探求」「世界史探求」が選択科目に,「公民」は「公共」が必修科目となり「倫理」「政治・経済」が選択科目となるなど,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有益な形成者を育成することを目指した教科となることが目指される。そこで,これらを背景とする消費者市民社会のあり方についての検討をあわせて行うことが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
消費者市民社会のための教科横断プログラム作成にあたっては,これまでの消費者市民教育の視点にも包含されていたが,改めてSDGsの第12目標「つくる責任使う責任をはじめとした持続可能な環境に向けての国際的視点やわが国における成人年齢引き下げ,及び次期学習指導要領の告示にともない,調査のフレームワークを見直す必要が生じた。これまでも,教科横断プログラムは,それぞれの教科を土台に様々な成果が提示されており,新学習指導要領では各学校が設定する教育目標を実現するために,さらに「カリキュラム・マネジメント」の確立が求められている。その理念を実現するためにも,カリキュラム全体を通した取組を通じて,教科横断的な視点から教育活動の改善を行っていくことが求められている。そこで,さらに本年度達成できなかったオーストラリア・米国・ヨーロッパあるいは,今後を見越して東アジアをも視野に入れ,日本の「公民」にあたる「シティズンシップ」を見直し,わが国における「消費者市民」育成のための教科横断カリキュラムの作成を行うことを目標としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,計画していたヒアリング等による調査研究を行うことができなかった。次年度以降はヒアリング調査および研究発表を行い、旅費およびそれらの準備にかかる物品の支出を計画したい。
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