研究課題/領域番号 |
18K02355
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
遠藤 孝夫 淑徳大学, 人文学部, 教授 (70211779)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヴァルドルフ学校 / シュタイナー学校 / 基本法 / バーデン・ヴュルテンベルク・バーデン州憲法 / 私立学校条項 / キリスト者共同体 / 人智学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第2次世界大戦後のドイツにおける私立学校法制が、ボン基本法(旧西ドイツ憲法)の価値秩序、すなわち自由で民主主義的な根本秩序の確立という価値秩序に合致したものとして認識されるまで「肥沃化」してきた経緯を、ヴァルドルフ学校(シュタイナー学校)運動の関わりに留意しつつ解明することにある。 この研究目的を達成するために、研究4年目の令和3年度は、ドイツでの資料調査を実施する予定にしていたが、新型コロナ感染拡大の影響により、令和2年度に引き続き2年連続してドイツ渡航ができず、必ずしも当初の研究計画通りには進行することができなかった。そうした中でも、以下の通りの研究実績を残すことができた。 まず第1に、1945年のナチズム崩壊直後にドイツ西部の大学都市マールブルクで設置されたシュタイナー学校の設置経緯とそれを担った推進者たちの経歴、特にナチズム期の経歴について分析を行い、その結果を「淑徳大学人文学部研究論集」第7号に掲載することができた。 第2に、ボン基本法(1949年)とバーデン・ヴュルテンベルク州憲法(1953年)の私立学校条項の制定論議を分析し、ナチズムの苦い経験とその反省を踏まえ、自由で民主主義的な新国家建設には私立学校の権利を保障することが不可欠であるとの認識から、憲法の私立学校条項が制定されたことを明らかにすることができた。 第3に、上記の第2の成果の一部を、教育史学会第65会大会(神戸大学)において、コロキウムを企画し研究報告として発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通り、新型コロナウイルス寛政拡大の影響により、ドイツにおける調査研究を2年連続で実施できず、研究に必要な資料収集が十分に行えなかったために、「やや遅れている」との区分となったものである。なお、本来は令和4年3月で研究期間が終了する予定であったが、1年間の研究期間延長が承認されたことから、残り1年間で当初の研究目的を達せできるよう、全力を尽くす所存である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、令和2年度と3年度の2年連続で、新型コロナ感染拡大の影響により、ドイツ渡航ができなかった。研究期間延長が承認されたことから、令和4年度はドイツでに調査研究を実施し、必要な資料収集とその分析を行う予定である。但し、ロシアによるウクライナ侵攻という新たな事態が発生したことで、現時点ではドイツ渡航は極めて困難な状況である。仮に令和4年度もドイツ渡航が不可能となることも想定して、必要な研究資料の入手について検討して、当初の研究目的の達成を実現する所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記の通り、令和2年度と3年度に予定していたドイツでの調査研究が、新型コロナウイルス拡大の影響により、実施することができなかったことが、次年度使用額が生じた最大の理由となっている。令和4年度は、ドイツでの調査研究を実施したいと願っているが、ロシアによるウクライナ侵攻という新たな事態が発生したために、ドイツ渡航が困難な状況となっている。このため、ドイツ渡航による方法ではない形で、必要な資料収集を行うことも検討している。
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