研究課題/領域番号 |
18K02358
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
山田 雅彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30254444)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 同期 / 引き込み / マルチモーダル分析 / 授業型コミュニケーション |
研究実績の概要 |
授業中のリズムある活動として授業中に実施される児童のユニゾンに注目して実施した前年度の口頭発表の成果を、以下のように二つの論文にまとめた。 (1)アルフレッド・シュッツの現象学的社会学の理論にもとづき、ユニゾンが達成される過程について理論的考察を行った。教育の場で実施される、「一つの声」に聞こえるほど息の合ったユニゾンは、ユニゾンする語句(テキスト)、自己と他者それぞれの発話の韻律の三者のバランスをとる、半ば無自覚の相互調整によって達成される。この点で、ユニゾンは学級経営で活用されるアイスブレイク活動(集団のチームワークを高めるとされる諸活動)と同様に、テキストを介して自己と他者の双方の自由を尊重した振る舞い方を模索する活動である。日本学級経営学会に投稿し、理論的整合性は評価されたものの、学級経営への貢献が実証されていないため学会誌の趣旨に合わないとして返戻された。 (2)ユニゾンに教師が影響を及ぼす手段として、ユニゾンを求める合図(キュー)に注目した。大学生による模擬授業からユニゾンが行われた場面を抽出し、ユニゾンが教師役学生のキューに忠実であるばかりでなく、児童役学生の即時的な対応によりある程度自治的に行われていることを指摘した。言語社会科学会に投稿。教師役のキューより日直として児童役学生の一人が発するキューの方がユニゾンへの影響力が大きいとの知見は評価されたものの、術語理解や方法論に先行研究との不整合が目立つことを指摘され、返戻された。 両者とも「修正の上再査読」となり、再投稿したが最終結果は「返戻」であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid19感染症の感染拡大に伴い、学生を協力者とするデータ収集が不可能になったため、現有のデータのみで考察を行わざるを得ず、データの少なさゆえに多様な解釈が可能となるため、研究結果の説得力を欠き、成果の公表に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は追加データの収集が可能となる見込みなので、データの追加によってより説得力のある考察が可能となる。投稿した論文は返戻されたものの、個々の知見に関しては有望であるとのコメント並びに有益な情報が査読者から寄せられ、これらを参照して論文の洗練と再投稿を準備中である。
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