研究課題/領域番号 |
18K02359
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
柴田 彩千子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20366800)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 社会教育 / 生涯学習 / 子育て支援 / 地域の教育力 |
研究実績の概要 |
一点目は、子育て中の母親(乳幼児の母親)を対象としたアンケート調査の分析を実施し、「子育て中の母親の学びのニーズ」と「子育てを通じた自己成長と葛藤」に関する認識の内容の一端が、次の通り明らかになった。現在子育て中の母親は、世代間の子育ての知恵や技術の継承というよりは、専門家や研究者あるいはその分野の第一人者からの知識や技術等の獲得を求める傾向があり、さらには、子育てに関して自分より少し先を歩んでいる先輩保護者からの実践的な助言を必要としている。さらには、単独で学習機会に参加するのではなく、パートナーと一緒に学習機会に参加したいと考える者が多い。パートナーと共に学習機会に参加するためには、それが可能となる「土日など休日の午前~16時」に開催される学習機会へのニーズが高く、学習中は子どもの居場所が確保されることが求められる。加えて、学習スタイルに関しては、じっくり回数や時間を重ねて学びを深めていくものではなく、「1回の単発講座」を志向していることが浮き彫りとなった。その要因について、本調査の回答者の半数以上が有職者であるため「自由な時間」に制限があり、仕事と育児の両立に悩み、「自由な自分自身のための時間」の捻出に苦慮している葛藤が見て取れたことが挙げられる。 二点目は、「地域の教育力」をつくるうえで、一定の役割を担っている人々が現在までに経験してきた学習の機会と内容を明らかにするため、インタビュー調査を行った。インタビュー調査の対象者は、自分自身の子育ての経験(PTA活動等)を通じて、「地域の教育力」の構築に関わっている学校運営協議会の委員、自分自身の子育ての問題を地域社会の子育ちや子育ての問題につなげた活動を展開しているNPOのメンバー、「子ども食堂」や貧困家庭の母親支援事業を実施するNPOのメンバーである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①当初は研究一年目には、インタビュー調査を実施することが難しいと予測していたが、3件(詳細は【研究実績の概要】を参照)のインタビュー調査と資料収集を実施することができた。 ②アンケート調査から得られたデータの整理と若干の分析を実施することができた。 ③研究計画に挙げた子育て中の母親を対象としたワークショップについて、初年度はその企画立案を行い、次年度以降に実施予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
(下記の番号は、【現在までの進捗状況】に対応しています。) ①実施済みの3件のインタビュー調査から得られたデータを分析し、そこから得られた新たな課題を検証する。 ②アンケート調査の分析を進める。この分析の視点は、子育て中の母親の「仕事の満足度」、「生活の満足度」と「学びの意欲」との相関性、「学びに関する意識」について、第一子の子育て中の母親、第二子以降の子育て中の母親との比較、等である。 ③子育て中の母親を対象としたワークショップを実施する。このワークショップでは、参加者が自分自身の生き方を省察することができる機会とするよう、そのための条件を整備する工夫を施す。ワークショップの内容を分析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
データ分析用のパソコンを購入する予定だったものの、当該年度には購入しなかったため。次年度に購入予定である。
|