研究課題/領域番号 |
18K02359
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
柴田 彩千子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20366800)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域の教育力 / 地域コーディネーター / 生涯学習 / 子ども支援者 / 地域づくり |
研究実績の概要 |
2021年度は、下記の二点に取り組んだ。 第一に、研究目的の一点目「子育て中の母親および父親の学びのニーズを明らかにし、それが実現可能となるような内容や形式を検証し、子育ての真只中にいる多忙な世代の生涯学習の支援の体系を構築していくこと」に対応した取組みとして、2021年12月11日(土)に、地域学習館における親子で参加できる世代間交流事業を、立川市幸学習館で実施した。本事業の実施形態は、研究代表者のゼミと立川市幸学習館運営協議会との連携事業である。新型コロナウィルスの感染防止を徹底したうえで、約100名の乳児から高齢者までの幅広い年齢層の地域住民の皆さんが参加した。本事業中には、参加者に対して、子育て中でも地域の活動に参加することのできる条件とは何かについて、聴き取りを行った。 第二に、研究目的の二点目「子育て中の母親が地域の教育力をつくるうえで果たす役割とその支援の方法を分析する」に対応した取組みとして、地域の教育力を支える各地のキー・パーソン12名を対象として、2021年7月から2022年3月にかけて、半構造化インタビュー調査を実施した。対象者によっては、継続的に複数回にわたって調査を行った。インタビュー対象者12名は、我が子の子育ての経験を通じて、PTA活動、地域の子どもや学校支援の活動に熱心に取組み、我が子が成人後もなお、地域の子ども支援の活動を発展的に継続している女性であり、現在では、地域の子ども支援のために、さまざまな地域の人的物的資源をつなぐコーディネーターとして、地域の子育て支援のリーダー的な役割を担う人々である。本調査は、インタビュー対象者が地域で果たしている役割をあきらかにすることと、彼女たちがいかにして、地域の教育力を支える力量を育んできたのかをあきらかにすることに、目的を据えたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 2021年度は、その前年度の2020年度に新型コロナウィルスの感染拡大の影響のため、当初計画していたインタビュー調査や参与観察調査を実施することができなかった分を、ほぼ実施することができ、インタビュー調査の記録データの整理が終了したところである。また、研究代表者の所属する大学のある自治体(東京都小金井市)で活躍する子ども支援者(保護者としての学びの活動を契機として、現在では学校運営協議会の委員や、子育て世代の人々を支援する活動を実践する人々)による学習サークル「小金井市SC研究会(仮称)」を発足し、上述のインタビュー対象者を講師に招いて、地域の教育力を発展させるにはどうしたらよいか、学校を核とした地域づくり等をテーマとした学習会を開催している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、次の三点に取り組む予定である。 第一に、2019年度に設定した仮設「子育て中の女性における主体性の形成過程」(子育て中の母親が地域づくりの主体者として、個人の子育ての問題を地域社会の課題として 捉えようと内面化していくプロセス)を、前年度に実施したインタビュー調査のデータの分析を行うことによって、精緻化する作業を行う。 第二に、前年度に発足した学習サークル「小金井市SC研究会(仮称)」を質量共に、発展させ、本研究から得られた知見を、具体的に地域での保護者や住民の学びの機会に還元できるような取組みを実施していく。こうした取組みを積み重ね、検証を重ねていくことによって、子育て中の母親・父親と多層な地域住民が共に学び合い、地域の教育力の向上が発展していくような教育実践の仕組みづくりに貢献できる研究を推進していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために、当初予定していた参与観察調査を全て実施できなかったために、旅費に計上していた予算額を使用することができなかったため。 また、インタビュー調査と研究会を全てオンラインにて実施したために、それに伴う旅費や会議費等を使用しなかったため。
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