本研究はこれまで、ICTなどの学習活動を支援するシステムの技術的発展をふまえ、地域社会において、地域住民が生涯学習の活動を成果活用まで展開できるシステムづくりについて、その意義・必要性を実践的・実証的に明らかにしてきた。令和5年度は、「新たな生涯学習プラットフォーム」のモデル化を図るため、これまでに調査を実施した地方国立大学の大学開放セクションである宇都宮大学、博物館ボランティア活動で地域の核を担い「生涯学習プラットフォーム」の役割を担ってきている北海道開拓の村、オンデマンドの講座配信をしている茨木市生涯学習センターに追加調査を実施した。 これまでの調査に加え、今回の調査により、「生涯学習プラットフォーム」には企画側として必要とされるコーディネート力、ファシリテート力に加え、学習相談を伴うメンター機能のより高度な専門性の有無が将来的な人材育成に関わってくることを検証できた。プラットフォームの仕組みを作っても、機能的な部分については、常に社会動向を視野に入れながらプラットフォーム機能の検証とアップスキリング等を実施する機会が必要である。 北陸地域では、オンライン・対面併用で実施された社会教育主事講習が社会教育専門職員の研修の機会として利用されている。これにより、社会教育士に着目する受講生にとって、自らの職場や仕事上の課題を持ち寄り、各々の課題解決へ向けた取り組みを学ぶカリキュラムは、実践を伴う学習プログラムとして有効性があった。またe-ポートフォリオを利用した学習支援プログラムについては、より実施・活用しやすいプログラムを作成した。 このように、相談機能を有し、生涯学習機会の提供から学習の成果活用までを結びつける講座を開発・実施しただけでなく、学習の成果活用をしている社会教育施設のボランティア研修の機会には、メンター機能の内容も含むプログラムを実施することができた。
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