今年度はCOVID-19感染拡大の影響も軽減されたことから、国内外への資料調査活動を再開することができた。琉球大学のガバナンス関連では、同大学の『週報』『学報』などの資料を閲覧し、日本復帰に伴い同大学内に設置された組織の審議動向についての情報収集を行なった。また、沖縄滞在中に、戦後琉球における学校教育・教育行政等の関係者へのオーラルヒストリーのデジタルアーカイブ化を研究している大学職員にインタビューをする機会が得られたので情報交換、意見交換を行った。同氏がインタビューしている人物から日本復帰前の琉球大学の運営において学生参画が一定程度認められていたとの証言があるとの情報を得たため、琉球大学図書館所蔵の同大学規程集や学生新聞をあらためて探索した。さらに、国立教育政策研究所の教育図書館においても復帰に伴う琉球大学の国立移管に関する文献資料の閲覧を行なった。 他方で、前年度中に投稿をすませていた、琉球政府による私立大学全体のガバナンスの制度化に関する論文については、「米軍統治下における琉球大学における私立大学行政制度の構築ー私立大学の集合体としてのガバナンスを支える論理に着目してー」(大学史研究会『大学史研究』32巻、2023年12月刊)として掲載された。 また、懸案となっていた米国スタンフォード大学フーヴァー研究所所蔵のACE(米国教育評議会)関連資料群のうち、占領地委員会関連資料の調査を行った。
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