研究課題/領域番号 |
18K02365
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
筒井 茂喜 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50726924)
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研究分担者 |
中須賀 巧 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (10712218)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 身体接触 / 組ずもう / 集団凝集性 / 共感的な心情 / 小学校4年生児童 |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究実績は、「小学校4年生児童を対象にした”組ずもう”の授業実践」および「学会での研究成果発表」である。それぞれの概要について述べる。 小学校4年生児童を対象にした”組ずもう”の授業実践は、全力による身体接触を伴う運動「組ずもう」によって生起する「身体への気づき」から、主観的認知する他者の気もちが共感的な心情といえるのか。また、共感的な心情であれば、学級の集団凝集性を高めえるのかを検討することを目的におこなった。その研究方法は、「組ずもう」を小学校4年生児童に実施。また学習成果の測定として単元前後に「身体への気づき質問紙」「体育授業における共感性質問紙」「学級の集団凝集性質問紙」を実施するものであった。 その結果、次のことが得られた。「身体への気づき得点」は単元後に有意に向上した。 「体育授業における共感性得点」は、単元後に有意な変化はなかった。「学級の集団凝集性得点」は単元後に有意な変化はなった。「身体への気づき得点」と「共感性得点」との間には有意な中程度の相関がみられた。「共感性得点」と「集団凝集性得点」との間には有意な中程度の生の相関がみられた。 これらのことから、「身体への気づき」の高まりは、「共感的な心情」の高まりに、「共感的心情」の高まりは「集団凝集性」の高まりに影響を与えると推察された。 以上の研究成果は、第38回日本スポーツ教育学会研究大会(広島大会)で発表、国内に広く発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた授業実践を実施することができ、その成果を学会大会で発表し、広く意見を求めるできた。また、その学会発表にて、今後の研究における貴重な意見等を得ることができた。 現在は、2回目の授業実践にむけて準備しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は小学校6年生児童を対象に「組ずもう」の実践を行い、相手の「身体への気づき」から主観的に認知する「相手の感情・気もち」にどのような意味があるのかを「実感」と「納得」という観点から検討する。 運動による「身体への気づき」「共感的な心情」ならば、長なわとびの実践においても見出されている。そこで、身体接触を伴わない他の運動で生起する「身体への気づき」「共感的な心情」との差異を検討する。すなわち、身体接触は人に「実感」と「納得」をもたらせるという特性があるが、この観点から「組ずもう」において児童が「身体への気づき」から「相手の気もち」を主観的に認知する行為にどのような教育的意味があるのかを詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度に授業実践を行った学校に「すもうマット」があり、「すもうマット」購入に充てる予算が次年度に繰り越しとなった。 31年度に授業実践を行う学校には「すもうマット」及び補助マットもない。繰り越し予算はこれらマットの購入に充てる。
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