研究課題/領域番号 |
18K02376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
岡本 洋之 兵庫大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (50351846)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 英国の労働者階級への教養教育 / WEAによる学問的自己教育の文化 / ポール夫妻提唱のプロレットカルト / 土田杏村指導下の自由大学運動 / 長野県千代村における青年層の学び / 長野県における大正期の新教育思潮 / 中村拡三から子どもたちへのリスペクト / 横田三郎の近代主義批判における傾聴すべきほころび |
研究成果の概要 |
本研究は,1920年頃の英国─同時期信州─ファシズム期信州─戦後関西の,3地域3時期の教育思想の関連を解明した。 1920年頃の英国ではWEA,同時期信州では土田杏村が,教養教育を追求しつつも,労働者・民衆へのリスペクトが不足していた土田は,WEA年報から労働者の学問的自己教育の文化を学び損なった。だが千代村民は同文化を独自に模索した。 同時期信州から戦後期関西にかけては,中村拡三を介するつながりを確認した。彼は,活動終了後も残滓を遺していた東西南北会の人格主義教育と,白樺派の人間尊重思想を,塩尻小で体得し,両潮流に欠けていた,国家の存在を問う姿勢と社会科学を,戦後関西で補った。
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自由記述の分野 |
比較教育学(思想史的アプローチ)
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
第1に,WEA流の学問的自己教育の文化を,千代村民が大要ながら独自に掴んだことを示す本研究は,「主体的・対話的で深い学び」に至る地下水脈の解明に貢献したと考えられる。 第2に,本研究が提起した教育史分析のキー概念たる,学ぶ者や社会の底辺にいる者へのリスペクト(ポール夫妻と,本研究が中村との比較対象とした横田三郎に見られず,土田には不足し,中村は豊かに有していた)は,共生社会実現に向けた研究の新地平を広げよう。 第3に本研究は,理論は事実とは別に産み出され,現実に向けて演繹されるという,土田・横田の立場に立つ限り,上記リスペクトは生まれず,ゆえに教育者はこの立場をとるべきでないことを示唆した。
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