研究課題/領域番号 |
18K02377
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研究機関 | 奈良学園大学 |
研究代表者 |
山本 美紀 奈良学園大学, 人間教育学部, 教授 (60570950)
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研究分担者 |
前島 志保 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (10535173)
紙屋 牧子 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 研究員 (20571087)
高山 花子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教務補佐員 (40789070)
大森 雅子 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (90749152)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子供文化 / メディア / 社会福祉 / 芸術教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、1926年から1962年まで大阪の中之島にあった総合文化施設「朝日会館」における子供を対象とした文化活動について1.全容を解明・記録化し、2.社会教育への影響を検証することを目的とする。その活動は、「雑誌」によって構築された仮想共同体を伴った現実の場「朝日会館」を拠点に、地域に活動の場を拡張したダイナミックな展開を見せていたと考えられる。 上記の目標の下、初年度においては、朝日会館の子供向け雑誌『アサヒカイカン コドモの本』の現存する調査を行い、さらに、その背景となった朝日新聞社会事業団の活動の広がりを確認している。そこから見えてくるのは、「子供」を窓に、欧米の先端技術や芸術をはじめとした教育方法、社会福祉の状況を誌面に投影させ、積極的に家庭に介入していこうとするメディアの意図である。朝日新聞社の子供への関心については、『週刊朝日』(旬刊朝日)創刊当初からあり、それは教育問題を中心に扱う記事内容から出発している。そこでは「子供」を扱いつつ、家族全体、あるいは社会的存在として子供を見る視点があり、時代が下ると共に、社会福祉事業のわかりやすい(社会的に理解が得られやすい)対象として「子供」を扱う流れが確認される。 「子供」はやがて社会を動かす主体となっていく。これまでの研究から、本研究が目指す当時の社会への影響は、「子供」を対象とした雑誌が構築するコミュニティが、戦後日本社会にどのような形で反映されてきたのかにつながると確信を深めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若手研究者が中心となっているため、研究分担者のうち2人が申請時とは違う所属機関に異動するなどがあり、当初の研究計画よりも若干の遅れが認められる。しかしながら、資料の収集などの点においては、当初の計画通り調査が進んでおり、さらに、この1年で関係諸機関との連携が構築されたことから、おおむね進んでいるとの評価が妥当と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、[1]朝日会館の子供対象企画の開館内外の活動、及び雑誌などを含む全容解明と、現存する資料の記録化。[2]朝日会館の子供対象企画を契機とするネットワークの全容と構築方法の解明。にむけ、さらに研究を進める。 特に今年度は、記録化と影響関係へのアプローチにむけ、前年度準備に従い、記録化を順次進める。また、影響関係にあると思われる、同時代及び戦後の事業に関する国内外の調査を行う。(研究チーム全員が関わる)。定期的に研究会を開催し、情報を共有すると同時に、来年度のシンポジウム・研究成果の公表に向け、準備する所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究資料を管理する機関との連携についての取り決めなど、研究遂行に関わる前提に若干の変更があったため。また、若手研究者が中心となっているため、研究分担者のうち2人が申請時とは違う所属機関に異動するなどがあったため。次年度は、その部分が改善されることから、当初目標は充分達成できると考える。
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