研究課題/領域番号 |
18K02378
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研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
松本 和寿 筑紫女学園大学, 人間科学部, 教授 (50613824)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教育評価 / 5段階相対評価 / 累加記録摘要 / 指導要録 / 戦後教育改革 |
研究実績の概要 |
今年度は、2019年8月に開催された第78回 日本教育学会(学習院大学)において「戦後教育改革期の「教育測定」と「教育評価」」と題する研究発表、9月に開催された第63回 教育史学会(静岡大学)において「戦後教育改革期の指導要録における「教育評価」機能の検討-「累加記録摘要」(1949)を中心に-」と題する研究発表の2回の学会発表を行った。(いずれも発表時間30分、質疑応答15分程度。) 日本教育学会における発表は、1948(昭和23)年の児童指導要録への5段階相対評価の導入に着目し、ときの文部事務官小見山栄一の「教育評価」論の特質について検討したものである。質疑では、5段階相対評価導入の際の学校種や地域による反応の違いや正規分布曲線に基づく評定の割合の適用状況について参会者の関心が高かった。 教育史学会における発表は、1949(昭和24)年に文部省が作成した累加記録摘要の特質と次期指導要録への改訂の経緯を手がかりに、中等学校対象の指導要録に期待された「教育評価」機能について検討したものである。質疑では、累加記録摘要の様式や学校・教員の反応、進学や就職の資料としての活用状況について参会者の関心が高かった。 両研究ともに、基本史資料として国立国会図書館所蔵の1945(昭和20)年~1960(昭和35)年を中心とした教育雑誌記事(『児童心理』『測定と評価』など。)、国立教育政策研究所の「戦後教育資料」(大島文義旧蔵文書)、都道府県教育委員会発行の地方教育雑誌、当時の教育関係出版物(古書)などを用いた。 なお、前者の内容は日本教育方法学会『教育方法学研究』第45巻(2020年5月発行予定)、後者の内容は教育史学会『日本の教育史学』第63集(2020年10月発行予定)に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究発表2回を実施し、論文の学会誌掲載2本が決定しており、当初計画どおり、本研究は順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、「研究実績の概要」に記した内容に、標準学力検査の導入に関する検討を加え本研究のまとめを行う。 なお、今般の新型コロナウィルス感染予防に係る緊急事態宣言の発令により、国会図書館をはじめとした各所での資料収集のめどが立たない。2020年度は研究の最終年度であるため、どの程度、必要とする史資料が収集できるかが大きな課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金を支出せず研究を進めたことや物品費が予想を下回ったこと、および新型コロナウィルス感染防止のため3月に予定したの調査(2回)を中止したことなどが挙げられる。 これら支出により賄うことにしていた内容はそのまま次年度(最終年度)に持ち越すため、次年度に支出する予定である。 なお、次年度は研究の進捗を見極めながら調査旅費や資料購入他、計画的に支出したい。
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