本研究は、戦後教育改革期、経験主義教育の「総合的」な学力観に基づく指導と、同じ時期、学力を「分析的」に測定するため多くの学校が実施した標準学力検査を対象化し、一見矛盾する両者の見方・考え方を、教育関係者がどう受容したのか明らかにした。 標準学力検査は、5段階相対評価が有する準拠する集団の人数や学力の質に影響を受けるという欠点を補いその信頼度を高めるために利用された。教育現場は1951(昭和26)年頃までは態度を客観的に評価する努力を続けるが、日常的な観察と記録の困難、客観テストでの態度の評価の限界から、学力観と評価の間にズレを抱えたまま1955(昭和33)年の学習指導要領改訂を迎えた。
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