本研究では,教員の協働性を効率的に高める方策として,教員を対象とした研修プログラムを開発することを目的としている。そのためのツールとして,教師の葛藤状況を扱った研修教材「クロスロード教育相談編」の改良版「クロスロード チーム学校編」を作成し,教員の協働性を高めるために有効な活用法について検討することとした。 2021年度は、試行版の「クロスロード チーム学校編」を実際に教員研修の場で使用し、その効果を検証した。30代から50代までの幼・小・中・高・特別支援学校の教諭45名を対象に、「クロスロードチーム 学校編」を用いた2回の研修を実施し、終了後に事後アンケートを実施した(研修会のうち1回は2020年度に実施。対象者の重複なし)。 アンケート結果の分析を通して、研修での体験が「今後の教育実践に役立てることができる」という確かな実感に結びついていること、教示通りグループの多数派予測をしてゲームに参加した者は、『協働性』に対する自分自身の考え方への気づきが得られることなどが確認された。また、年代による効果の差はないことも明らかになった。これらの分析を通して、研修を実施する際の留意点についても検討した。以上の結果については、第43回日本キャリア教育学会にて発表を行った。 本教材を用いた研修プログラムは、教員の協働性を高めるきっかけとして充分に効果があると考えられるため、今後、教育現場において校内研修や生徒指導・教育相談等に関する研修会などでの活用をうながしていく。
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