研究課題/領域番号 |
18K02382
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
本図 愛実 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (70293850)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教員政策 / 理論と実践の往還 / well-being |
研究実績の概要 |
(1)教員養成に関する理論研究の一環として、「理論と実践の往還」について、日本教育学会第77回大会での公開シンポジウムを企画した。多様な立場の方からの議論を喚起するとともに、そのまとめとして(『教育学研究』に掲載)において、歴史的考察をふまえ、カリキュラムかコンピテンシーかという視点により整理していく必要があることを明示した。 (2)OECDによる多領域における政策推進において「well-being」の実現が掲げられていることやその背景ならびに個別の調査結果を分析した。教育政策領域においてはPISA、TALISなどの調査項目からそれらが測定されるようとしていることと、「効果的教師」の捉えられ方に援用されようとしていることを日本教育行政学会にて発表した。主観や自律的な学びに対する意欲が重視されていることを改めて示唆した。なお、発表時の議論や教育課程に関する有識者との意見交換などをへて、「well-being」については「個人的・社会的幸福」と捉えることとした。 (3)教職課程の認定に関する政策動向について、教員育成指標を基に、独立行政法人教職員支援機構の研究プロジェクトとともに精査した。 (4)教員研修効果測定の在り方について、宮城県ミドルリーダー研修を素材として検討した。関連テーマについて中央研修受講などの受講歴有無で、コントロール集団を作り、アンケート記述の質的分析を行った。その成果については教職員支援機構「ニッツ大賞」に応募した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)初年度の計画どおり、教員養成の理論に関するシンポジウムを実施することができた。 (2)教職の社会的認知について、グローバルスタンダードを理解すべく、OECDの政策動向を精査し、その成果を日本教育行政学会で報告した。 (3)well-beingの主要素である、自律的な意欲が研修で得られるのか、効果測定について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「教師効果研究」の根幹にある「エビデンスに基づく政策形成」(EBPM)について、コールマンレポートの再定義を行いつつ、教員の育成指標および資質能力向上に関わる著書としてまとめる。 (2)OECDの教員政策やwell-beeing推進の具体的な動きや調査結果を精査する。 (3)研修効果測定の在り方を検討し、「測定される学力=教師の効果」として行われるEBPMに対する代替案を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
教員養成の理論に関するシンポジウム開催が想定よりも経費がかからなかったため。また、OECD調査を優先することとしたが、2019年5月のOECD公開フォーラムに合わせて多領域の動きも含め調査を行った方が効率的に研究を遂行できると判断したため。
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