研究課題/領域番号 |
18K02383
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
Inugai Carol 筑波大学, 教育推進部, 客員教授 (90817032)
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研究分担者 |
御手洗 明佳 千葉大学, アカデミック・リンク・センター, 特任助教 (00725260)
花井 渉 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (60783107)
江里口 歡人 玉川大学, 教育学部, 教授 (90266255)
川口 純 筑波大学, 人間系, 助教 (90733329)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大学入試改革 / IBDP / センター試験 / 探究型学習 / 学習成果の評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、高大接続における国際バカロレア(International Baccalaureate:以下、IB)のデ ィプロマ・プログラム(IBDP)の活用について、国際比較研究を実施し、下記3点の課題を 明らかにするものである。(1) 高等教育の課題:「大学がIBDPの修了生やIBDPの教育成果を如何に評価するのか」(2) 教育制度上の課題:「如何にIBDPを日本の大学入試制度に位置付けるのか」(3) 大学入試改革の課題:「IBDPの活用が大学入試改革全体に如何なる影響を与えるのか」 これら3つの課題を、相互に関連付けながら包括的に明らかにした。特に先進的にIBDP生を受け入れてきた諸外国(米国・オーストラリア・英国)では、IBDPが、円滑な高大接続に対して、如何なる意義や効果を有すると考えられ、また制度の中に位置付いているのか、現地調査を通じて明らかにした。英国においては、IBDPが、大学・カレッジ入学サービス機構(University and College Admission Service)が作成する全国統一能力認証基準(UCAS Tariff)に位置づけられたことで、新たな大学入学資格の選択肢の一つとなっていることが判明した。また、米国ではIBDPは早修制度の一部を成している。高校生が大学1、2年次レベルの科目を履修し、その後に行われる共通試験の結果によって大学の単位を取得できる制度であるAPプログラムと並んで、高校生を大学へ円滑に移行させるための高大接続プログラムとして普及していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、米国・オーストラリア・英国の大学入試制度に対して、IBDPが如何に影響を与えているのか、その状況を明らかにすることを試みた。その上で、当該結果を相対化、比較しながら、国内の大学入試改革に示唆を導出することを計画していたが、本年度の調査により、予定していた海外の現地調査が概ね順調に進展した。また、当初の予定には無かった国の情報も逐次、集約することが出来、研究の進捗状況は概ね、良好と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、対象国の大学入試制度全体において、IBDPはいかに位置付けられているかという全体像に加えて、各国の各大学は、個別に、IBDPの学習経験を有する生徒を如何に評価しているかを明らかにする。例えば、米国においては、IBDPは入学時点における評価のみならず、入学後の単位認定にもつながるような制度設計がなされている。このように他国の大学での調査を通じて、国内の当該評価制度を相対的に、かつ多角的に把捉し、示唆を得る予定である。また、IB導入国の大英国においては、IBDPのコアの要素が、他の大学入学のための資格の要件にも影響を及ぼしていることが明らかになった。IBが重視する能力観は、いわゆる「新しい能力」と親和的であると捉えられており、IBDPの国内における普及は、IB認定校以外の学校における教育にも影響を及ぼすことが考えられる。さらに、日本においては、現在「IBの良さを生かした教育」の構想・普及が模索されている。現在、国内では大学入試改革が進行している状況にも鑑み、今後、IBDPを大学入試改革全体に生かす方向性を展望することは学術的、実践的な意義が高いと考える。今後は、米国・オーストラリア・英国の大学入試制度に対して、IBDPが如何に影響を与えているのか、その状況を明らかにすることを試みる。その上で、当該結果を相対化、比較しながら、国内の大学入試改革に示唆を導出することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費精算上の計算相違が生じて、結果的に9000円の残額が発生したため。
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