• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

若年出産女性にみる沖縄の貧困の再生産過程

研究課題

研究課題/領域番号 18K02390
研究機関琉球大学

研究代表者

上間 陽子  琉球大学, 教育学研究科, 教授 (90381194)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード若年出産 / 貧困問題 / 再生産 / 沖縄
研究実績の概要

本調査研究は、沖縄県において、10代で子どもを出産した女性に対して、その選択に至った理由や背景を、インタビューによって聞き取ることを企図してなされた調査である。
聞き取りにおいては、彼女たちの学校体験、ピアグループの有無・形成過程、定位家族、生殖家族の状況、本人の自己アイデンティティの形態について聞き取りをすすめるものである。初年度である一昨年の実施においては、10代の女性と、20代の女性では、世代的な違いがみられており、それはコミュニティ形成の仕方と、それを裏付けるように学校体験の差異というものが少なからず影響を与えているように思われた。
初年度は49名の方から聞き取りを実施することができたが、二年目を迎える昨年度はあらたに16名の方から聞き取りをすすめ、現時点で、聞き取りデータ数は65名となっており調査の進行としてはまずまずだと思う。今年度までの65名のデータから明らかになったのは、出産に至るまでと出産後の状況の厳しさに、原母との関係とピアグループとの関係があるということである。また、出産によって原母との関係が変容しているケースがあり、その点に、彼女たちが出産を積極的に進めたい多くの理由が集中している。またピアグループの形成が学校・地元規定的なのか否かが、出産後の状態にかなり影響をあたえている、ということである。今年獲得予定のデータ獲得数は15名になるが、80のデータをベースにして整理をすすめたい。
今年度のデータでは、支援を受けている女性が幾人か追加されているが、支援系の暴力も告発されている。その点について、どうしてそうした暴力がおこるのかについても、一定のデータを蓄積することができた。なお、こうしたデータの性質上、法曹界並びに医療従事者との連携も増えており、それゆえ多忙を極めることになったが、最終年度においても、こうした連携を進めながら、データの獲得にあたりたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は49名の方から聞き取りを実施し、二年目を迎える今年はあらたに16名の方から聞き取りをすすめており、昨年までの聞き取りデータ数は65名となった。
年度開始当初に計画していた数は70名であり、協力者も獲得していたのだが、新型コロナウィルスもあり、インタビューの実施に至らなかったケースがあり、当初予定していた数よりデータ獲得数は減少している。
とはいえ、今年度の新規インタビューの方には数回にわたるインタビュー(2回から3回ならびに、複数回のデータ確認)を行うことができたため、緻密なデータを獲得したほか、当初予定にはなかった、若年出産を支援している支援者側の沖縄の状況についてと支援の実態についてのインタビューを実施している。それによって、沖縄の貧困の包括的な状況を抑えることができた。

今後の研究の推進方策

トランスクリプト化の作業が間に合っていないので、それを早急にすすめたい。
学会などが開催されないことが見込まれるので、論稿にすることを前倒しして実施したいと思っている。
包括的な状況を把握するうえで、支援施設の支援者への聞き取りが経年的な変化を追うためにも有効だということがわかったので、最終年度は複数の支援者のインタビューの獲得を目指したい。
最終年度においてもまた、二年目と同じく15名のデータの獲得をめざしているが、新型コロナウィルスの状況が厳しいため、夏以降の様子をみながら研究の設計を考える必要がある。調査について十分な理解を得ることが難しいと判断し、新たにデータ獲得が困難となった場合には、すでにラポールを形成しており、かつとりわけ困難と判断できる方に追加調査を行うことで経年的なデータから解釈できる事柄を増やすことを考えたい。また、昨年実施した支援者以外にも支援者のほうが沖縄の貧困の再生産過程をどのように捉えているのかについてより分厚いデータ獲得を目指すことも企図したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響で、3月の研究会が実施できなかった。そのため旅費として予定して予算を消化していない。トランスクリプト化の作業を進めようと思っていたが一部についてはまだ行っていない。
今年度もひきつづき学会や研究科などがオンラインで実施される可能性があるが、学会での発表を想定し一部を旅費として使うほか、昨年獲得したデータの15人の二回目のインタビューのトランスクリプト化の作業ならびに今年度新規獲得のデータのトランスクリプト化の作業の人件費として使用したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 貧困問題と女性ーー風俗業界で働いている女性たちの聞きとり調査から2020

    • 著者名/発表者名
      上間陽子
    • 雑誌名

      女性の生きづらさ---その痛みを語る こころの科学増刊

      巻: 増刊号 ページ: 50-60

  • [雑誌論文] 沖縄の若者たちの生活ー二つの社会調査から2020

    • 著者名/発表者名
      上間陽子
    • 雑誌名

      Human Lights

      巻: 387 ページ: 14-22

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi