沖縄県では、若年出生率が2.4%から2.6%で推移するなど全国と比べると2倍以上の数値となっている。本調査は、沖縄県において10代で出産した女性たちがどのような理由で出産まで至り、その後どのように生殖家族を作り出していくのかなど、彼女たちの家族の再生産過程を聴き取ることを企図して行われた調査であり、調査の項目は、彼女たちの学校体験、親密な友だち関係、定位家族との関係、生殖家族の形成過程、学校、医療・福祉との関係、そしてキャリア形成といったものとなっている。 調査を通じてわかったのは、育児の状況や生殖家族の安定につながるのは、子どもの父親との関係よりも、実母(原母)との関係とピアグループとの関係に規定されているということである。これらを4つの象限に分類すると原母+ピアグループ+の女性たちは出産、育児といったことがらがみられ、原母+ピアグループ-においては出産や育児の支援ならびにキャリア形成についても実家の応援がもらえるなどがあった。反対に、原母-、ピアグループ+においては、暴力の問題が突出して高く、原母-、ピアグループ-においては暴力の問題ならびに異性とのトラブルが持続的にみられるなどの出産、育児だけではなく生活全体が絶えず困難がみられるということがあった。 ひとりあたり2時間程度のインタビューを実施し、それからあまり間をおかない形でトランスクリプトの確認ならびに第二回目のインタビューを実施し、一回目のインタビューでは聴き取れなかった内容について再度聞き取りを行うなどの方法状の工夫を行った。 2017年から2022年にかけて、77名の女性たちに話をきいてきたが、それぞれの困難の現れた子となっているので、状況にあわせてひとりあたり2回から15回のインタビューを実施した。
|