研究課題/領域番号 |
18K02395
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
増田 広美 (植村広美) 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (10614000)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中国 / 高等職業教育 / 専門職大学院 |
研究実績の概要 |
昨年度は近年の高等職業教育制度の概要、特徴、改革動向を整理するとともに、中等職業教育制度との共通点や相違点を探っていった。それらを踏まえ、2年目となる今年度は大学院レベルに焦点をあて、従来の大学院との比較の観点から2009年に開設された専門職大学院にみられる特質を考察した。というのも、中国では大卒者の就職難、および高度な専門的知識、技術を有する人材に対する社会的要望の高まりを機に、大学院進学希望希望者の急激な増加がみられたからである。これを機に、2009年に教育部が全日制専門職大学院という新たな大学院制度を打ち出し、より専門的かつ実践的な能力の育成が図られるようになってきている。 考察の結果、教育部がまとめた『2019年全国研究生招生調査報告』によると、2009年の時点では専門職大学院への進学者の割合は全体の16%を占めるに過ぎなかったが、2017年には56%へと大幅な量的拡大がみられることが分かった。その背景として、学歴証書のみの授与であった従来の専門職大学院とは異なり、研究系大学院と同じく学歴証書と学位証書が同時に授与される点も進学者の増加に拍車をかける要因となっていることが分かった。 また、2009年に教育部が公布した「全日制専門職大学院における人材育成に関する若干の意見(関於做好全日制修士専業学位研究生培養工作的若干意見)」では、従来のように修業年数以内に単位を取得し、修了にあたって修士論文の提出が条件とされることに加えて、学外における半年以上の単位認定外実習の実施も求められることが分かった。すなわち、2009年に打ち出された全日制専門職大学院という新たな大学院制度によって、従来に比べ更に実践的な能力を習得した人材が労働市場に投入されることになり、より高等教育と労働市場との接続が図られるようになったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来、2~3月に予定していた中国の全日制専門職大学院における現地調査が、新型コロナウイルス感染症の蔓延から入国制限措置がとられたことにより、延期せざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においても、わが国と中国に焦点を当てた高等職業教育改革の考察となるため、入国制限の解除を待ち、現地調査の実施に備えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2~3月に予定していた中国における現地調査について、新型コロナウイルス感染症の影響から入国制限がかかった為、中止せざるをえなくなった。
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