研究課題/領域番号 |
18K02402
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
小山 治 京都産業大学, 全学共通教育センター, 准教授 (50621562)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域教育 / 出身大学所在地 / 地域内就職者割合 / COC+ / 職業的レリバンス / 地方創生 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学の地域教育は地方創生に資するのかという問いを実証的に明らかにすることである。 この目的を達成する第2段階として、文献の収集を継続しつつ、2019年度には主に出身大学所在地への就職に関するデータの収集・分析を行った。 まず、全国の国立大学が公開している学部生の進路・就職状況に関するデータの収集・分析を行った。すべての国立大学の公式ウェブサイト(キャリアセンター等の就職支援部局、大学概要)を調査し、2014~2018年度における学部の卒業者数、進学者数、就職者数、地域内就職者数(当該国立大学の所在地である都道府県内に就職した者の数)を収集した。国立大学に着目したのは、文部科学省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」(COC+)の採択校の大半が国立大学であるとともに、国立大学では上述したデータが相当程度公開されているからである。このデータを分析した結果、COC+の採択校と非採択校との間で地域内就職者割合(就職者のうち、当該国立大学の所在地である都道府県内に就職した者の割合)に差がないことを明らかにした。また、COC+採択校内において、地域内就職者割合の推移に大きな変動がないことも明らかにした。これらの知見は、大学の地域教育が出身大学所在地への就職者割合を高めるわけではないということを示唆している。COC+の「意図せざる結果」を示唆するという点で、これらの知見には一定の学術的・政策的意義があると考えられる。 次に、大卒就業者に対する既存のインターネットモニター調査のデータを再分析することによって、地方大学における地域教育と出身大学所在地への就職との関連性を検討した。その結果、地域教育(授業)は出身大学所在地への就職と有意な関連がないこと、地域教育(ゼミ・演習)は出身大学所在地への就職と有意な負の関連があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学(COC+推進部局、キャリアセンター)に対する聞きとり調査と地方企業に対する質問紙調査を延期したことから「やや遅れている」と判断した。前者については、全国の国立大学の進路・就職状況に関するデータの分析結果に基づいて、今後、聞きとり調査を実施する予定である。後者については、予算の制約上、調査規模を再検討する。
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今後の研究の推進方策 |
大学に対する聞きとり調査については、主な調査対象校に連絡済みである。新型コロナウイルスの状況によっては、オンラインによる聞きとり調査に切り替える可能性がある。地方企業に対する質問紙調査については、調査規模を再検討し、場合によっては次年度に実施予定の調査の予算を拡充することを想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学に対する聞きとり調査と地方企業に対する質問紙調査を延期したため、次年度使用額が生じた。前者に対しては2020年度に実施する。後者については、調査規模を再検討中である。
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