研究課題/領域番号 |
18K02403
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
竹内 洋 関西大学, 東西学術研究所, 客員研究員 (70067677)
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研究分担者 |
井上 義和 帝京大学, 学修・研究支援センター, 准教授 (10324592)
長崎 励朗 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (30632773)
佐々木 基裕 名古屋女子大学, 文学部, 講師 (90780560)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知の変容 / ファシリテーション / ワークショップ |
研究実績の概要 |
共同研究は2年目を迎え、「知の変容とアカデミズム」をメンバーがそれぞれ自分の問題関心のなかで捉え直し、さらに具体的なフィールドの開拓を進めた。とりわけ進展が著しい後者について以下に述べる。研究分担者の井上義和が中心となり日本教育社会学会第71回大会の課題研究Ⅲ「ファシリテーションの時代?―コミュ力頼みの限界を超えて」と題するシンポジウムを企画して9月13日に開催した。アクティブラーニングの政策的導入に象徴される、参加・体験重視の教育方法が、大学や学校でも浸透してきた。これはじつは教育現場だけでなく、2000年代のビジネスや政治行政の現場でも同時性をもった現象である(立場や利害を超えた創造的コミュニケーションの要請)。このシンポジウムは、そうした「知の変容」をファシリテーションの時代として多角的に捉え直すべく、多種多様な分野の専門家を交えて議論した。報告者として中村和彦(南山大学/人間関係トレーニングと組織開発)・田村哲樹(名古屋大学/政治理論と熟議民主主義)・牧野智和(大妻女子大学/自己と感情の社会学)、討論者として中野民夫(東京工業大学/ワークショップ企画プロデュース)・小針誠(青山学院大学/教育社会史)を招き井上が司会を担当した。シンポジウムの成果を図書として刊行する作業に着手し、登壇者以外には中原淳(立教大学/人材開発)のインタビューもおこなった。ここからわかってきたのは、そうした知の変容をもたらすものは、大学の専門知の最前線から出てきたものではなく、制度の外のオルタナティブな実践や教育現場の試行錯誤のなかでいわば「野生の学び」(中原)として生まれ、拡散してきたものであることである。2020年度中の刊行を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ファシリテーションやワークショップといった形式の浸透への着目(「研究実績の概要」参照)は、研究計画の上では予期していなかったものである。しかしながら、日本教育社会学会2019年大会の課題研究に採択されたことで、シンポジウムと書籍化の企画が具体的に進展することになった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は各自の研究を論文にまとめ、成果を共有しながら知見を統合していく。分担者の井上が進める「ファシリテーションの時代」企画については、2年目に実施したシンポジウムとその過程で構築したネットワークを活用して成果を図書にまとめ2020年度中の刊行を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月以降コロナ禍により、年度内に予定していた研究会合やインタビュー調査や資料収集などの出張予定がキャンセルとなったため。 2020年度についてはまだ出張予定が決定できない状況にあるが、当面はオンラインでインタビューを行うために必要な機材や関連図書の購入、インタビューの文字起しにかかる費用等を予定している。
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