研究課題/領域番号 |
18K02404
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研究機関 | 鹿児島純心女子大学 |
研究代表者 |
広瀬 健一郎 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 准教授 (80352491)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 先住民族 / 教育自治権 / 先住民族の権利 / 先住民族教育史 / カナダ地域研究 |
研究実績の概要 |
本年度も、国立公文書館(Library and Archives Canada)にて、1940年代~1970年代にかけての「インディアン局」の公文書(RG10およびRG22文書)の資料調査・収集を行った。また1970年代~1980年代の「インディアン・北方開発書」の公文書の調査・収集も行った。閲覧制限のある公文書の一部およびマイクロフィルムに収められた公文書を閲覧・収集することができた。 また、ブリティッシュ・コロンビア州政府の先住民族教育政策に着目し、1970年代~現在までの先住民族教育プログラム等の史的展開を概観し、「カナダの先住民族教育における脱植民地戦略-ブリティッシュコロンビア州の学校教育を中心に」(土田映子編『多文化世界におけるアイデンティティと文化的アイコン』、2020年、35-53頁)と題する論文にまとめた。ここでは、1979年にブリティッシュ・コロンビア州政府が発した「インディアン教育政策宣言」を起点として、1980年代から90年代にかけて、全州的に、地方教育委員会が様々な先住民族学習が行われるようになったことを明らかにした。現在では、社会科の選択必修科目として、「現代先住民族科」と「BC先住民族科」の2科目が設置されている。これらの教科内容の概要と特賞を明らかにした。 このようなカリキュラムの制度的条件として、高等教育機関における先住民族教育の体制と内容についても、概要を明らかにした。ここでは、州立大学における「先住民族学科」のカリキュラム、先住民族言語・文化教員免許状の創設と養成制度の概要、先住民族に関連する資格・免許制度の概要、先住民族自治体で資格や免許の取得を可能とする「先住民族大学」の仕組みと概要を明らかにした。総じて、州政府の先住民族教育制度の枠組みを、政府と先住民族とがいかに組みなおし、先住民族教育の脱植民地化をすすめてきたかの梗概を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19の感染拡大により、カナダ国立公文書館の業務が停止し、閲覧請求を行った文書について、公開の目途が立っていない。カナダ国立公文書館の資料については、本年度あらためて。調査をし直さなければならない。また、大学内の業務においても、オンライン授業の準備等に時間を割かれている。
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今後の研究の推進方策 |
カナダ国立公文書館の再開と同時に、資料閲覧の請求を再開する。また、既に収集した資料の分析をすすめ、明らかにし得たところから、学会な学術誌等にて発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
インフォーマントとの日程があわず、インタビューが実現しなかったことによる。今年度は、日程調整を再開し、インタビューを行う。
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