研究課題/領域番号 |
18K02405
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
塙 武郎 専修大学, 経済学部, 教授 (90434422)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 一般財源保証債 / レベニュー債(大学債) / 州資本補助金 / 州債務負担補助金 / 政府間財政関係 / 一般基金 / 地方財産税 / 債券の信用力 |
研究実績の概要 |
令和2年度は新型コロナウイルスのパンデミックによりアメリカへの現地調査・ヒアリング調査・資料収集等が一切ストップした。これによりデスクワーク(メール、Zoom会議等)のみを余儀なくされたが、主に次の2点を進めた。 第1に、シカゴ市学校区等を事例として、一般財源保証債の発行に伴う債務管理を含めた予算編成過程の特徴として、学校区が本来負担すべき債務(元利払い)の一部を州政府が補助金によって財政支援を行っている中で、学校区の側は当該支援を予定として一般基金に自主財源(地方財産税)の大半を配分し、教員給与等の経常的経費を調整していることを明らかにした。このことは、アメリカにおける学校区と州政府との「協調的政府間財政関係」の注目すべき事例であり、リベラル色の強い初等中等教育財政の典型として位置づけることができる。 第2に、ただしイリノイ州財政が悪化した2016年、2017年は、州自身の債券の信用力が下がり、また学校区を含む地方自治体のそれも下がった点は注目に値する。学校区のほか、州立大学のレベニュー債の信用力も大きく下がったことも明らかにした。 第3に、こうしたシカゴ市学校区およびイリノイ州の事例は再分配政策に重きを置くリベラル色の強い特殊な事例であると位置づけたうえで、他州との比較を行ったところ、州が学校区の債務負担を積極的に行うという財政支援は基本的には見られず、あくまで学校区の財政力とそれに基づく一般財源保証債の信用力が証券市場の側から評価されていること確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミックによる海外出張の実施不能のため。
|
今後の研究の推進方策 |
令和2年度の遅延は令和3年度で挽回する。パンデミックが終息に向かい海外調査が可能になり次第、実施する。またそれとは別に、関係者とのメールやZoom会議を実施するとともに、資料整理を進め、現地調査の準備を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
世界的パンデミックによる研究計画の遅れ(延期)のため。
|