研究課題/領域番号 |
18K02411
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
金子 真理子 東京学芸大学, 先端教育人材育成推進機構, 教授 (70334464)
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研究分担者 |
三石 初雄 東京学芸大学, 先端教育人材育成推進機構, 名誉教授 (10157547)
坂井 俊樹 開智国際大学, 教育学部, 教授 (10186992)
原子 栄一郎 東京学芸大学, 環境教育研究センター, 教授 (70272630)
小林 晋平 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70513901)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育目的 / カリキュラム |
研究実績の概要 |
学校教育は、何のために、いかなる知識を生産し、伝え、教えるべきなのだろうか。本研究は、学びの目的について、「未来のカリキュラム」という概念を用いて検討する。M.F.D.ヤング(2002)によれば、「未来のカリキュラム」の概念は、未来の社会の概念、それを作りだし維持するためのスキル、知識、姿勢、そしてこのような社会を現実的に可能なものとするような、知識の諸形態間の関係を含んでいる。それゆえに、カリキュラム論争は、異なる目的をめぐるものであり、私たちが期待する各々に多様な社会観をめぐる論争となる。 本年度は、研究代表者および研究分担者がそれぞれの専門分野のカリキュラムについて、「未来のカリキュラム」がいかに論じられ、何がもたらされたのかを、資料やデータを用いて検討した。 原子が環境教育、坂井が社会科教育、小林と三石が理科教育、金子が教員養成カリキュラムに焦点をあてて分析をすすめた。 金子は、戦後の教員養成カリキュラムをめぐる論争に光を当てることで、「未来のカリキュラム」をめぐる論争がどのように起こり、いかなる影響をもたらしたのかを検討した。1950年代の東京学芸大学では、「大学における教員養成」における教育的知識とは何か、どうあるべきかを議論し、初期のカリキュラムを構築した。学生はこれをどう受け止め、行動したか。そこには、「大学における教員養成」を構築しようとする大学側の営みとともに、学生側が大学に対する不満や批判のみならず、全教ゼミ等の自主的な学びを自ら展開していった歴史があった。このようななかで、彼らは教員養成における学問の意義をそれぞれどのように捉え、行動したのかを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育社会学、環境教育学、歴史学および社会科教育学、物理学、教育学および理科教育学の立場から、正規のカリキュラムや対抗的なカリキュラムを含め、事例を持ち寄って検討してきたが、研究のとりまとめに想定以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
分野や時代が異なる事例を比較したときに、「未来のカリキュラム」をめぐる人びとの論争について、共通点と相違点を検討する。 カリキュラム論争の影響については、たとえば正規のカリキュラムの変容、あるいはオルタナティブな学び舎の誕生などが考えられる。逆に、既存のカリキュラムに対する対抗的なカリキュラムが生まれ消えていった歴史も考えられる。こうしたカリキュラムをめぐる相克を明らかにすることで、既存のカリキュラムの背景を明らかにするとともに、オルタナティブな可能性を探る。 研究分担者の持ち寄る事例を相互に比較検討し、成果の書籍化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、研究会をオンラインで行ったことや、調査に出向くことが難しかったことなどから、費用が縮減された。翌年度への繰り越し分は、インタビューデータの反訳や研究成果の公開(報告書等の作成)などに使用する。
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