研究課題/領域番号 |
18K02413
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
江成 幸 三重大学, 人文学部, 教授 (20269682)
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研究分担者 |
オチャンテ ロサ 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 准教授 (00784042)
谷垣 映子 三重大学, 人文学部, 助教 (70303716) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外国につながる高校生 / 進路形成 / 三重県 / 多文化共生 / 日本語学習 / 移民第二世代 |
研究実績の概要 |
外国につながる若者への聞き取り調査をもとに、高校進学以降に直面する課題を検討した。三重県では作文、面接、英語科目など特色のある入試を採用している公立高校もあり、来日して間もない子どもにも進学の機会が開かれている。しかし卒業後の進路を考える段階になると、主に経済的理由から進学を断念する事例がみられた。彼らの身近に正規社員のロールモデルがいないため、高校で就職指導を受けても、生涯賃金の概念を知らずに非正規就労を選びその日の生活に追われる者もいる。大学進学者には理系が少なく、私立の文系に進む者がほとんである。中学生への進路指導が充実してきた一方で、早期からのライフプラニングや、家計管理などの生活スキルの面で、さらなるキャリア支援が求められる。 三重県のある市では年に2回、外国につながる中学生と保護者を対象とする高校進学ガイダンスを実施している。入試制度の説明、校内見学、高校別の相談会などが盛り込まれており、参加者は多言語の通訳を希望することができる。また毎年改定される県立高校入試の方針は、財団法人三重県国際交流協会によって英語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、フィリピン語に翻訳されている。日本の教育システムになじみのない保護者にとって、通訳・翻訳の提供は重要である。進学ガイダンスでは、外国につながる高校生による体験発表も行われており、子ども自身が将来の進路を考え、モチベーションを高めるきっかけとなることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ流行により、当初予定していた調査や出張を延期せざるを得なかった。年度末にオンラインを利用して外国につながる高校生への面接調査を再開し、4名に聞き取りを行った。また、前年度までに行ったインタビュー、フィールドワーク、三重県多文化共生推進会議の資料等をもとに論文を執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインによる面接調査が軌道にのっており、三重県内および一部愛知県など東海地方に在住する外国につながる高校生、大学生、社会人へのインタビューを継続する。 申請時に計画していた海外調査や学会への出張は新型コロナウィルスの流行が続いているため、困難だと思われる。それに代わり、県内の教育支援関係者との意見交換や、報告書作成のための執筆依頼なども検討していきたい。また、対面による調査が可能な時期になれば再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ流行の影響により、計画していた国内出張、国外出張、調査データ整理のためのアルバイト雇用などを行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画は以下のように考えている。備品設備費として移民第二世代の教育に関する参考書籍、データ収集に使用するためのICレコーダーおよびiPad、資料分析に用いるパソコン、ソフトウェア、外部記憶装置(ハードディスク、USBメモリ)等を購入する。人件費・謝金として、面接調査の協力者に対する謝礼、専門的知識の提供ないし原稿執筆への謝金、録音したインタビューを文字起こしする人件費を予定している。その他に、最終年度の研究成果報告書の印刷費、通信費等に支出する予定である。
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