研究課題/領域番号 |
18K02418
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
西田 芳正 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (10254450)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 公営住宅 / 貧困 / 移行過程 / 地域集団 / 中学校 / 近隣効果 |
研究実績の概要 |
公営住宅集積地における生活史調査、参与観察調査については、前年度までに予備的な調査を進め地域のリーダー層住民との関係形成も順調に進んでいたため、本年度、本格的に調査活動を展開することができた。公営住宅建設の時期、構成、その後の地域形成過程の特徴を異にする3つの地域において、インタビュー調査をのべ35人を対象として実施した。町内会など主要な地域集団のリーダー層に加えて、調査過程で見出した新たなテーマにふさわしい住民を紹介していただくという手順をとっている。一人当たりのインタビュー時間は平均2.5時間である。また、調査地への訪問回数も100回を超えるペースで進め、地域行事や会合に参加してきた。これらの調査について、インタビューの文字起こしとフィールドノートの作成という基礎作業も終了している。 さらに、調査を進めるなかで当該地域を校区とする中学校が創立以来数度の厳しい「荒れ」に直面し、直近の10年間は「荒れ」からの脱却を目指した取り組みが精力的に進められ大きな成果を上げてきたことを知ることになった。学校研究としてだけでなく、当該地域とそこでの子どもから大人への移行過程を知るうえで非常に重要なテーマであると捉え、本格的な学校調査を進めることにした。管理職、リーダー層教員からの理解、協力を得ることができ、卒業生、教職員を対象とするインタビュー調査(20人)を実施した。この作業により、過去10年間の学校の変化を当事者の語りから再構成することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績」欄に記した通り、当初予定した以上のペースで調査活動を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、試行的な分析作業を終えた段階にあり、次年度は地域社会、若者の移行研究、学校研究の3分野に分けて学会報告、論文執筆を進める予定である。また、インタビュー記録および分析の結果について本人への確認作業を行い、分析作業の参考とする他、その過程で浮上する新たなテーマや追加すべき対象者について追加の調査を行っていくことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた予算執行から大きなズレが生じた要因として、インタビュー記録の文字化作業について業者に依頼する予定であったものを対象者との信頼関係保持のため自身ですべて行ったこと、さらに、インタビューに集中したために他の資料収集と分析に関わる費用が浮いたためである。当初想定していた3地域についての継続調査に加え、地域状況を異にする公営住宅集積地を比較対象とする必要があり、次年度については旅費および資料整理のための人件費が計画以上に必要となる予定である。
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