本研究では、(1)フィンランドの教育政策における「教育における平等」概念の検証、(2)教育関係者のライフヒストリー・インタビューによる「教育における平等」の検証、(3)「教育における平等」の多層的アプローチの制度化メカニズムの解明、(4)平等性を担保する教育制度の在り方についての提言、を実施することとしている。 2023年度は、(1)現地の教育関係者に対するライフヒストリー・インタビューの実施、(2)実施したインタビューのテキスト化(文字起こし)と翻訳、(3)インタビューの内容確認とそれらを裏付ける資料の収集、(4)本科研の総括となる国際セミナー開催、(5)国際セミナーのとりまとめを実施した。 教育関係者のインタビューについては、1990年代以降の教育政策立案等に関与した関係者の平等観の背景には、自らの教育経験を通じた平等の意義や重要性の認識が大きくかかわっているという、これまでの調査で得られた仮説を強化する結果となった。 また、本研究の総括として、2024年2月17日に津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス広瀬記念ホールにおいて、国際セミナー「フィンランドの教育における平等-伝統的価値と新たな挑戦-」を開催した。セミナーでは、フィンランドより女性として初めて国家教育委員会委員長を務めたキルシ・リンドロース氏を基調講演者として、同氏並びに、都留文科大学名誉教授の福田誠治氏、聖心女子大学教授の澤野由紀子氏をパネリストとして招聘した。リンドロース氏からは、本研究に対する指導助言も得た。
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