研究課題/領域番号 |
18K02423
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大塲 麻代 帝京大学, 外国語学部, 講師 (30578828)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 無認可校 / 認可校 / カリキュラム / スラム |
研究実績の概要 |
ケニアの首都ナイロビにあるスラムには、無認可の低学費私立校が多数存在し多くの児童が就学している。本研究では、マザレ地区を事例に、これら無認可校のカリキュラムや運営について調査を実施している。現在までにマザレ地区の無認可校20校と隣接する公立校1校で調査を実施することができている。
調査より、マザレ地区の学校は認可校と同様のカリキュラムに従い、可能な限り政府が示す学校認可基準を満たす努力を行っているものの、多くは依然として無認可であり、政府はこのような学校を認可する方向には至っていないことが分かった。政府の見解について直接関係者に聞き取りを実施するのは難しい一方、理由としては、法律で規定している学校設置基準の順守が挙げられる。しかし、公立学校が不足し就学者数は増加している中で、地域住民が自主的に学校を開設・運営している意義は大きく、何等かの支援が必要なのは明白である。現地の学校は学校間ネットワークを構築し、相互の情報交換を密にし、政府との対話を継続することで無認可校の理解と認可の働きかけを行っている。
2019年度は、これまでの研究成果を国内外の学会で発表し情報発信を行った。具体的には、6月は東京外国語大学で開催された日本比較教育学会と陸前高田グローバルキャンパスで開催された国際開発学会春季大会で発表を行った。10月には宮崎公民館で開催されたアフリカ教育学会、11月には東京大学駒場キャンパスで開催された国際開発学会・人間の安全保障学会共催大会でそれぞれ発表を行った。加えて、9月にイギリスのオックスフォード大学で開催された教育と開発の国際学会(UKFIET)でも発表し、ケニアの事情に詳しい研究者らとの情報交換を行った。これら活動により、国内外の研究者・実務者とケニア都市部のスラムにおける学校教育の現状を共有し、また現地のNGOともネットワークを構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
若干調査に遅れをきたしている理由は、一昨年から調査許可が下りにくくなっており、その理由として、相手の受け入れ機関の学長または研究部署を所轄する副学長の承諾書が毎年必要になったことが挙げられる。この手続きに時間を要し、現地に行ったものの調査許可が下りていないなど、調査期間内に予定した調査を全て実施することができなかったトラブルが発生した。したがって、現在は渡航前から十全に準備を行い、事前に調査許可を得るようにしている。今年度については、新型コロナウイルスの影響もあり、どの程度現地調査が実施可能か分からず、推移を見守りつつ、渡航可能となったら現地調査を実施予定である。、
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今後の研究の推進方策 |
既に20校の調査を実施してきているため、引き続き同校を訪問し、不足しているデータを収集するとともに、調査地周辺の公立校や認可私立校については、未だ十分な調査は実施できていないことから、このような学校の調査も行い、スラムの学校との比較を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定通り国際学会に参加できたものの、分担金もあり、1年を通じて調査に1度しか行くことができなかったため、繰越金が生じてしまった。今年度は、新型コロナウイルスの影響がどの程度現地調査に及ぶか、現時点では先の見通しが難しいものの、終息を待って現地調査を実施する方向で検討している。
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