2020 年度実施状況報告書

インドネシアの高等教育機関内における宗教施設の教育的役割

研究課題

研究課題/領域番号	18K02424
研究機関	東洋大学
研究代表者	中田有紀東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (30553771)
研究期間 (年度)	2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード	インドネシア / 宗教 / 高等教育 / イスラーム
研究実績の概要	本研究は、人口の約90％がイスラ―ム教徒であるインドネシアの高等教育機関における宗教施設の教育的役割を明かにするため、大学内の宗教施設として設置されているモスクで提供される教授・学習活動の実態を明らかにし、インドネシアの高等教育機関におけるイスラームの実態の解明に努めることを目指している。インドネシアの高等教育機関は、教育文化省が管轄する一般系の高等教育機関と、宗教省が管轄するイスラーム系の高等教育機関が存在する。イスラーム系の高等教育機関は主として宗教関連の専門職の養成が主たる目的とされている。他方、一般系の高等教育機関では、非宗教分野のさまざまな学問が学ばれるが、イスラ―ム教徒の教職員および学生が大半を占めることが多い。これまでの研究の過程では、一般系の国立の高等教育機関のモスクにおいて、教員や学生による学習活動が、活発に展開されていることが明らかとなった。一般系の国立大学では、かつて小規模だった大学内のモスクは、近年では、施設・設備の充実が図られるとともに、モスクにおける諸活動も充実し多様化しており、学内外の人びとに向けたイスラーム学習の機会が多様にある。本研究の2年目には、複数の国立大学の訪問し、情報収集を行ったことで、一般系の大学のモスク間のネットワークを通じて、大学モスクでの活動の充実を図る試みがあることや、各大学のモスクは、大学教育として行われる宗教教育（必修科目）や課外活動としての学生によるイスラーム活動と連携していることも明らかとなった。当該年度である2020年度は、主として本研究の2年目（2019年）の海外調査の成果を主とした論文を、東洋大学アジア文化研究所の研究紀要において、発表した。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 3: やや遅れている理由 2018年度および2019年度は、おおむね順調に研究をすすめることができていたが、2020年度は、新型コロナウィルスの影響により、国内外で予定していた補足調査や所属学会の大会が中止・延期となったため、研究成果報告が十分に行うことはできなかった。しかし、本研究に関連する、高等教育やイスラーム、宗教に関する文献収集・購入し、整理するとともに、これまでの研究成果を、『東洋大学アジア文化研究所研究年報』に、論文として発表した。
今後の研究の推進方策	国内を中心に、補足資料等の収集に努める。また、所属学会等での研究発表を行う予定である。可能となれば、海外での補足調査を行い、大学内の宗教施設であるモスクの役割や意義の考察に役立てたいと考えている。しかし今後の国際情勢を鑑みて、状況により、海外とのメール等でのやりとりを通して、情報収集を行い、研究の総括を行うこととしたい。
次年度使用額が生じた理由	新型コロナウィルスの影響により、国内および海外出張が不可能となったため、国内の学会参加や、海外での補足調査・意見交換等の機会が中止・延期となったため。次年度は、国内での補足資料、情報収集および学会や研究会発表などの国内出張を行い、状況次第では、海外調査を実施する予定である。