本研究は、インドネシアの高等教育機関における宗教施設の教育的役割を明かにするため、大学内のモスクでの学習活動の実態の解明を試みた。その結果、ムスリムの教職員や学生が大半を占めることが多い一般系の大学のモスクでは、学生や地域社会の人々向けのイスラームの基礎的な学習の場を提供するとともに、大学モスク組織間のネットワークを構築して、大学モスクでの活動の充実を図る試みがあることを明らかにした。こうした大学内のモスクの活動の充実の背景には、1980年代以降の社会全体のイスラーム化に伴い、人々のイスラーム学習への関心の高まりが大きく関わっていたことも明らかにした。
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